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第二話「倫敦の吸血鬼 前編」2

 正午にはまだ早いが、日差しに温かさを感じる十時過ぎ。

 ホワイトチャペル地区の一角。

「……で、何でアタシに聞くの? やっぱりアタシが頼りになるって事?」

 ヴェロニカが顔をにやつかせて言う。

「情報源は複数持っている。その中の一つに過ぎん」

「またまたー!」

「知らんならいい」

 踵を返そうとする玉兎。

「待ちなって。心当たりはあるよ。寝物語に女を脅かそうって男は多いからね」

 胸を張るヴェロニカ。彼女自身が客を取っているわけではないのだが。

「最近、フリート街で次々、行方不明者が出てるって。しかも、その後、みんな失血死体で見つかるんだってさ」

「ウエストミンスターの方か……こちらとの情報にも合致するな」

「なになに? また怪人の調査?」

「……いいか。これは本当に危険なのだ。絶対について来るな」

 静かに、しかし威圧すらしているように言う。

「……なによ。だったらあたしに聞かなきゃいいじゃない」

 へそを曲げるヴェロニカ。

「……信用しているからなんだがな」

 背を向け、玉兎は歩き出す。

 そんな呟きが聞こえたかはわからないが、ヴェロニカは考え込んでいた。

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