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昔話
むかしむかし、ある所に才気あふれる若者がいた。
若者は仙道を修め、仙人を目指して修行を積んだ。
その傍らには美しき女人。彼女もまた女仙を目指す者である。
二人は競うように修行に明け暮れ、仙人に手が届く所まで来ていた。
しかし、ある時男は禁断の術に手を出してしまう。
それは鬼門封じ。
この世の災いを生みだす根源、鬼門を封じ、世から悪を消し去る――
理念こそ素晴らしかれど、人の分を過ぎた思いあがりであった。
結果として、鬼門を封じた反動が波となって押し寄せる。
それは正しく自業自得であった。
だが、女は男の前に立った。
その膨大な力の奔流を浴び、体を引き裂かれながら女は笑い――
「金烏!!」
男の叫び虚しく、宙に大量の符が舞い散った。