1.4冒険開始?いいえ、アイテム整理です。
遅筆ですが、ボチボチ投稿中。
こんにちは、神座木眞緒です。
なんだかんだで、夜になってしまいました。
子供の頃は、キャンプやお泊りというのはとってもワクワクしたものです。
ただ、大平原の直中で一人孤独に野宿をするのは楽しいものではありません。
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時刻は夕方、というかすでに日は沈んでいた。
メニュー画面のチェックに取り組んでいる間に、かなりの時間が過ぎていたようだ。
急いで寝場所を確保しないと、完全に暗くなったら身動きが取れない。
とりあえずアイテム一覧から使えそうな物を取り出していく。
ロープに杭を数本とハンマー、防水布や毛布も何枚か取り出しておいた。
自分が寄り掛かっていた低木にロープを張って防水布を掛け、隅にハンマーで杭を打って結び付けていく。
屋根を用意したら地面にも防水布を敷いて、一緒に出しておいた毛布を持ち込めば……
立派なテントの完成だ。
別にアウトドアの知識や経験がある訳でもないので適当に作ってみた筈だが、思った以上に形になっているように感じる。
作業をしているうちに太陽が沈んでしまい、あっという間に真っ暗になった。
早速、出来たばかりのテントに入り、適当にランプを取り出して火を灯す。
体感では、目が覚めてから5、6時間は経っているようで、空腹を感じるようになってきた。
最初にストレージを開いた時に膨大な量のアイテムがある事だけは分かっていたので、何か食べられる物があるかもしれないと思って色々と食糧を探してみる事にした。
検索ワードを「食糧」にして調べてみると、いきなり様々なモンスターの名前が付いた肉がヒットした。
ざっと見るだけでもかなりの種類と量があり、とりあえずこのワードは諦めた。
なによりも、いきなり正体不明のモンスターの肉を平然と貪り食う程ワイルドな性格はしていない。
一応はきちんとした「食糧品」を探してみる。
もちろん変な物がヒットしないように、検索ワードを追加しておく。
幾つか検索していった結果、「保存食」で肉や野菜、果物等を見繕う事が出来た。
他にも、ついでに探したら鍋や食器類、携帯コンロ、水袋といった品物を見つける事が出来たので、フォルダを作って分類しておく。
これらの道具類を見つけた時に、その中に魔導具と分類される品がある事に気付いた時はちょっと興奮したが、それまでの色々を考えれば今更だったかもしれない。
とりあえず目星を付けたアイテムを一通り取り出していく。
携帯魔導コンロに鍋を置き、水筒から水を注ぐ。
刻んだ干し野菜と干し肉を鍋に入れて火に掛け、適当にそれっぽいハーブと塩、胡椒を足して味を整えればスープの完成だ。
白パンとバターがあったので皿に出し、デザートに見つけたドライフルーツを用意すれば、思った以上に豪華な夕食が出来上がった。
まだストレージの中身を確認し終わってないから、何でこうも都合良く食材があるかは不明だが、それは後で考えれば良いだろう。
とりあえず、今は食事に専念する。
適当に食材をぶち込んだだけではあったが、思った以上にいける。
うん、伊達に一人暮らしをしていた訳ではない、自炊経験が生きているな……
38歳、独身、童貞、彼女なし、友達なし、趣味なし、彼女いない歴=年齢は伊達じゃないね、平日は職場と家の往復のみ、休みの日は一日中寝てるだけ、唯一の楽しみは食うだけだからって、うるさいわ!ほっとけ!!
……ハァ、スゲー虚しい…………
いつまでも虚しい一人ボケ自虐ノリツッコミなんかしてても、ホント悲しくてしょうがないので、気持ちを切り替える事にする。
ここは荒野の真っ只中ではあるが、人里を探せば良いだけだ。
だけだってば!、だけだよね?、だけだと言ってよ誰か?って、だから誰もいないんだよっ!
これ以上は本当に虚しくなるので、食事を再開する事にする。
スープの温かさが、ジワリと身に染み渡っていく。
おかしいなぁ?
美味しいスープが出来たはずなのに、何だかちょっぴり塩っぱいんだ……
……
…………
………………
腹も膨れた所で、アイテム整理を再開する。
この先何があるかわからないし、自分の持ち物くらいはしっかり把握しておく必要がある。
とりあえず分類していく必要があるので、適当にフォルダを作っておく。
色々と検索ワードを追加して、ヒットしたアイテムを次々と検索ワードで名付けたフォルダに入れていった。
アイテムを見ながら思い付いたワードで、更にフォルダを増やしていく。
フォルダが増えてきたので、関連するもので更にまとめたフォルダを作って格納していったのだが……
あらかたアイテムの分類が終わる。
しかし、最後になって墓場フォルダを作る事になるとは、思ってもいなかった。
切っ掛けはアイテム名「折れた短剣」を見つけた事だった。
アイテムの数が多いけれど、かなりの量のガラクタが混ざっている可能性に気付いたのだ。
それで初めは目についたアイテム名をもとに「壊れた、折れた、割れた、砕けた、破れた」アイテム類を検索ワードでピックアップして、「ガラクタ」フォルダに分類していった。
分類してみると、思った通りに大量のガラクタがあったので、再利用出来そうな物は「素材」フォルダに振り分け直した。
素材を合成してアイテムを作るゲームなんかもあるし、もしかしたら上手いこと利用できるかもしれない。
そうしてアイテム整理を続けていって、最後に残ったモノが「○○の死体」と表示される大量の死体の山だった。
軽くデータ数をカウントしてみるとニ千を超えたため、途中で止めた。
墓地フォルダを作って分類し、ガラクタと素材を合わせて墓場フォルダにまとめておく。
この「墓地フォルダ」、殆どが「竜人族」や「爬人族」と言う種族名で、他にもモンスターの死体が多数であった。
そんな中、「人間」で検索したら数件ヒットしてしまった事は、出来心とは言えやらなければ良かったと後悔している。
せめてこの人達だけでも、適当な所で埋葬してあげよう……
……
…………
………………
一夜が空けて、清々しい朝の日差しが降り注ぐ。
見上げれば、どこまでも高く晴れやかに澄んだ青空が広がっている。
すぐ側の湖から汲んだ水を使って、寝起きの体を拭き清めていく。
程良く冷たいタオルの感触に、気持ちが軽くなっていくのを感じる。
ストレージから、昨日の内に見繕っておいた衣類を取り出して着替えていく。
着替え終えたら、朝食の準備だ。
料理するのに「移動式調理設備」を出してみたら、軽くシステムキッチンだった。
パンとバター、ハム、チーズ、マスタード、昨日は(保存食ではないため)気付かなかった新鮮な野菜を取り出す。
スライスしたパンにバターとマスタードを塗り、適当に切り分けたハム、チーズ、野菜を挟んでサンドイッチを作っていく。
作ったサンドイッチから幾つかを昼食用に用意したバスケットに取り分けておく。
サンドイッチを嚙りながら、これからどうするかを思案した。
昨日見つけたマップ機能を開いて、周囲の様子を確認する。
「龍神の庭」と名付けられたマップは、とにかくだだっ広い盆地だった。
マップ内に街らしきものは見当たらない。
ここはマップのほぼ中央に位置するらしく、マップの中心に青い光点で自分の位置が表示されている。
周囲はほぼ自然のまま、西の端に一ヶ所だけ(おそらく人の手が入っているだろう)不自然な地形が見て取れる。
特に当てがあるわけでなし……
とりま、その辺でも目指してみますか!
ようやく出発出来そうです。