23 あの子と公園
点々と街灯に照らされた夜道を歩く。
こんな夜道を歩くとき、いつもなら怖くて足取りが遅くなる。けど、今日は逆に速まってしまう。いつもはたどり着くたびにホッとする街灯も今日は一つ通り過ぎるたびに緊張が増していく。
彼女に会えるかもしれない。それを考えるだけで、血の巡りが速まっていくような気がする。
待ちきれなくて、言われた時間の2時間も前に家を出てしまった。だから、足取りを速める必要なんかないのに、体が言うことを聞かない。
公園が見えてきた。
この場所は、紅葉秋と最後に会った場所だ。彼女は何でここに来てと言ったのか。紅葉秋とやはり何か関係があるのか。それは分からない。
ただ、何かが解決する、そんな予感がするのだ。
公園の中に入った。
やはり誰も来ていない。
全身がひどく熱い。
僕は自販機でミネラルウォーターを買って、ベンチに座った。ペットボトルに一口つけて、体の熱を覚ます。
こうやって誰もいない公園のベンチに一人で座っていると、ふと考えてしまう。
彼女と過ごしてきた夢のこと。
なぜ彼女はあんな夢を僕に見せたのか。僕が彼女と会って何がしたいのか。ただ、それらの答えは今日得られる。
そんな予感がする。
だんだんと思考の海に沈んでいく。周りの音が全く聞こえない。ふいに両手で視界を塞がれた。
「だーれだ?」
首筋に少し息がかかってくすぐったい。その声にはかなり聞き覚えがあった。
「君はっ」
そう言葉を発したときには、振り向いていた。
「はじめまして。なんて呼べばいいかな? 春さん、春、春くん、春ちゃん、ハル、それとも春先輩?」
彼女が、紅葉空がそう問いかけてくる。月明かりに照らされたその笑顔に吸い込まれそうになった。




