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夢に出てきた美少女の幼馴染みが転校してきた。  作者: 育難学
夢なのか、現実なのか
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16 転校生と映画鑑賞2

 用事も住んだことだし、僕はそのまま家に帰ろうと思っていた。


 ただ映画館を出た後、周りの歩く人達が映画の感想を言い合っているとき。町中を歩いているとき。そして、電車に乗っているとき。


 それらのどの時も紅葉秋は相変わらず一言も話さなかった。


 だが目だけはらんらんとさせていた。よほど話したいことがある様子だ。


 駅を出て、彼女の家まで送ろうかと思って声をかけようとしたとき、通知音がなる。彼女の方を見ると、うなずかれたので、確認してみる。


『私の家の近所に公園があるんですが、そこで話しませんか?』


 メッセージにはそう書かれていた。


「分かった。行こう」


 そう返事すると、彼女は僕の少し前を歩き始めた。その足取りは少しだけ弾んでいるように見えた。




『あの展開は何なんですかね。初めは良かったと思うんですよ。まあ、ありきたりでしたけど。雪女との恋物語って。だけど、だけど、地球温暖化につなげるのは意味不明でしょ。普通なります? 雪女を救おう→気温が上昇してるのが原因かもしれない→地球温暖化を解決しようって。作った人地球温暖化のことが言いたかっただけでしょ』


 公園のベンチに座ると怒涛の勢いでメッセージが送られてくる。大分先程の映画がお気に召さなかったようである。


 僕はちょっと吉岡を恨んだ。


 まあ、吉岡だからな。こんな気はしていたし、タダでもらったものに対して文句を言える義理はない。


 僕がそういう風に考え事をしていたからだろう。


『読んでます?』


 というメッセージが追加で送られてきた。読んでますって聞いてくる女の子がいるのか。世の中は広いな。


「読んでるよ。確かにあれは僕も途中からぽかんとしてしまった。脈絡が全然なかったと思う。でも後半の地球温暖化をなんとかしようとするビルディングスロマンのところは面白かったと思うよ」


『確かにそこだけ見れば面白かったと思いますよ。でも、流れってものがあるでしょう。動機が意味不明なので、感情移入できないじゃないですか。』


 そう言われれば確かにそうかもしれないが、このままでは今日がなんだかよくわからない映画を見た日になってしまう。


 僕はなんとか良かったところを探そうと頑張ったが、すべて彼女に反論されてしまった。


 まぁ、だが彼女とそうやって感想を言い合うことそのものも楽しかったのは事実だ。だから、これはこれで良かったんだと思う。


 日も沈んできたので、遠慮されたがなんとか意見を通して、彼女の家までしっかり送ってから帰った。その日帰りに見えた北斗七星は、7つの星一つひとつがはっきりと光って見えた。




 うちに帰ると、スマホにメッセージが送られてきていた。


『今日はごめんなさい。私ばっかり話しちゃって。』


 彼女はそう謝ってくる。話してはないな。


『全然気にしてないですよ。』


『それだとありがたいです。普段人と話さないから、どんなテンションでいけばいいか分からなくて。』


『それは僕も似たようなものですから。』


『それと、敬語じゃなかったから、びっくりしました。』


『いや、何故か書くときは敬語になっちゃうんですよね。それ以外は普通に話すんですけど。あ、もしかして不快でしたか?』


『いえ、全然。ただ、少しびっくりしただけです。』


 そうして、しばらく何でもないような会話をした。だんだんと彼女と打ち解けられている気がする。


 そろそろ空のことを聞いてみるのもいいかもしれない。


『紅葉さんに伝えたいことがあって。』

『あぁ、そのことですか。』


 えっ知ってたんだろうか。一度も話したことなんてなかったんだが。もしかしたら、吉岡との会話でも聞かれてたのかもしれない。


『あなたの気持ちは分かってるんですが、すぐには返事できないです。』


『返事できないっていうのは隠さないといけない理由があるってことでしょうか。』


『隠さないといけないわけじゃなくて、というか分かってますよね、返事しづらいことだって。』


 何かそういう事情があるんだろうか。


『すいません。』


『そんなに急かさないでください。もう少しだけ考える時間をください。』


『分かりました。もう少しだけ待ちます。』


『私の心の準備ができるまで待っていてください。手紙に書かれていた気持ちはちゃんと理解できてますから。』


 手紙?


 手紙には空のことなんて何も書いてないぞ。


『何か勘違いしてませんか。手紙ではそのことについて何も書いてないですよ。』


『直接的には書いてなかったかもしれませんけど、ちゃんと伝わってますよ。書いてましたよね、私も事が気になるって。』


 ちゃんと分かってるみたいだ。


『ああ、そうなんですよ。紅葉さんが夢の中に出てきた女の子と同じ容姿をしていて、それがとても気になってましてね。』


『えっ?』


『えっ?』


 その返信の既読が最後となり、以降連絡がつかなくなった。翌日学校に行くと紅葉秋は休んでいた。

 



 なぜ彼女は学校を休んだんだろう。昨日の会話で僕がとても傷つけるようなことをしてしまったんだろうか。


 全くそれが分からなかった僕は家に帰った後、彼女とのやり取りを確認した。けれど、彼女に何をしてしまったのか、どうして連絡を断ってしまったのか、それらのことについては結局何も分からなかった。


 以来、彼女は学校に来ていない。

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