番外2、でぶ猫事件
ねえっ!
あり得ないと思わない?
青銀の毛並みに、ターコイズブルーの可愛い美人猫だったのに、何か最近、ふくよかに・・・。いいえ。気休めはいいわっ!はっきり、キッパリ申しましょう。
でぶ猫になってるんですけど、どうしてえぇぇ!!!
運動が足りないのかなぁ。って、屋敷の中を走ってみたりするのだけれど。
それが、質量保存の法則が何かおかしくない?
どんだけ膨れ上がっても、足跡ドタドタはならない。
しかも。多分ね、私、1メートルぐらいになってるんですよ!
わかってる。もう、猫じゃないよね。化け猫だよ。
某アニメに出てくるような、ぼてーっとしたお腹。埋まった顔。ブサカワ?いやもう、貫禄が・・・。
メイドさん達が、流石に引いてるし、新人さんなんか、近寄れないぐらいビビってる。
何でよーう。私、とって食べたりしないよー。
レンは最近、毎日朝の日課をこなすと、学校に行って、午後からは公爵様の執務の手伝いをしているらしくって、帰って来るのは夕方。
困った。
本当に困った。
眉毛ハの字になる。
どうしよう。
食べなきゃいい訳じゃなくて、魔力どんどん吸い上げちゃうから、痩せられない。
何で?どうしよ。
はっ!!まさかの成長期??
個体差があって、2メートルぐらいのデカイのもいるって言ってたよね。
ブツブツ呟いてると、と言っても、ウニャウニャって声になる。
あぁー。猫を実感する。
何で言葉が通じないんだろ。
聞き取れるんだけどね。話せないのよね。ニャーニャーしか。
ストレスー!!!
そんな日が、約2カ月続いただろうか?
髭がピリピリして、ブワッと毛が逆立った。何かレンが嫌な感じだって思う。レン。レン。何してるの?行かなきゃ。
お友達契約の為せる技か?レンを思い浮かべると、ブワッと風が吹いて、上空にいた。
魔力で、飛ぶことは出来るからな。ちょっとビックリしたけど、焦らない、焦らない。
ジィーっと下を見ると、レンが、人間の魔術師と、多分、その契約した魔獣と戦っていた。
何で劣勢なんだろ?
でも、ヤルなら、不意打ちじゃなきゃ。
人間をヤルのは気が引けるな。
じゃー、あの、狼みたいなのがターゲットだ。
と、言っても、今、デブってるし、元は子猫だし。
氷の刃とかで貫くのがいいのかな?
大きく魔力を使ったら、バレちゃうよね。きっと。
じゃあ、イメージは流星だな。氷の刃で、一撃必殺!
魔法の発動方法とかないんだなー。イメージでも出来るのは、すごく楽で良いんだけど。
そうだ。獲物に落ちたら、ガラスが割れるみたいに弾けさせよう。
じゃあ。集中して、いっきまーす!
キランっと、肉球から光が出て、自分でも目に見えない速さで落ちて行った、ハズ。
次の瞬間には、狼が、ギャウンってなってた。
レンの肩にフワリと乗る。
あぁー。美少年が、残念な有様。ヨレヨレでヘロヘロ。
んっ?肩に乗った??(無意識)
乗れてるー!!!
祝!デブ猫卒業っ!!!
何でっ?何でっ?
わかんないけど、嬉しーわぁ。
それからのレンは、強かった。
バァンって、空気が振動したら、あっという間に敵?の魔導師を沈めてしまった。
「ミイ。助かったよ。」
レンが、フッと笑うので、ほっぺたすりすりしといた。
美少年に、すりすりとかいいわぁ。ビバ動物!(魔獣ですけど。)
その後、解った事だが、私がデブ猫になったのは、レンが魔法を使わなすぎて、レンの余剰魔力が私に貯蓄された為らしい。
何だよー。あのダイエットの努力何よ。
私がレンに魔力を返したから、急に元気になって一発逆転の運びとなったらしい。
敵の魔導師は、隣国からの流れの魔導師だったらしく、学生のレンなら、簡単に倒して、お高い魔道具奪えると思ったんだって。
授業、力加減して出てるから、全力じゃないのにねー。
最近、学校に加えて、公爵領の執務を手伝ってたから、寝不足で、魔力は不安定だし、本調子じゃなかったみたい。
でも、よかったー。レン無事で。
まあ、お疲れ。今日はゆっくり寝るわー。