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番外1、猫の見る虹色の魔法

レンの猫の話

目が醒めると、猫だった時の衝撃をお解り頂けるだろうか?


いやいや。


夏のホラー番組じゃないんですよ。


おかしいなぁ。昨日まで、れっきとした日本人で、ゲームのAP消費して、ガチャは我慢だって、思ったりしながら、あの本も、この本も読まなくちゃなんて、思いながら、睡魔に勝てずに寝たはずなのに。


んん?私?社会人してましたよ。女性でしたよ。

でも、おかしな事に、自分の名前とか、顔とか、家族とか、友達とか、職場の人とかさっぱり思い出せないの。自分の事はろくに思い出せないのに、小説や漫画やゲームの事は覚えてるのよ。どういうことよ。こういう展開、よく聞くなぁ。


あれ?これって、流行りの異世界転生?とか思ったりして。


で。それでだ。


どうも、自分は今、子猫なのに、親猫がいない。はぐれてしまったのか。どうしよう。


食べなきゃ死んじゃうって思って、葉っぱとか、キノコとか、口にしてみたけど、もう、全然無理。


不味くて不味くて。


因みに、昆虫は論外ね。


それで、数日、苦しんでて、もう、諦めたんですよ。運が悪かったなぁって。しかも、転生先が猫って!!!

親のいない子猫なんて、山の中にいたら野垂れ死ぬのが関の山。

来世では、幸せになりたいなぁなんて、河べりの大岩の上で、伸びてた。


そしたら、いかにも、ガメツイ商人です!!みたいなオジさんに捕まったんだよ。


初めて人間見たけど、嫌な予感しかないよっ?

って思ってたら、ポケ○ンみたいに、四角い箱投げつけられて、パカって箱の中に捕獲されてしまったという。


「いやぁ。何て運がいいんだろう。氷猫なんて、どうしてこんな所にいるんだろう。」


オジさんに箱ごと街まで運ばれて、更に、凄みのあるジイさん商人に売り飛ばされた。


大体、移動の時は、馬車だから、外は見えないし、でも、餌もくれないから、何でかなぁって思ってたんだけど、初めてお客の前に出されて商品説明をされた時に、理解した。


「こちらが、氷猫の幼体です。アルベ河の上流で、捕獲されたものになります。まだ、幼体で力を持たないので、ペットとして、最適かと思います。上手に使い魔となされば、魔力の嵩上げになりますし、お嬢様のよい守護者ともなりましょう。もちろん、破魔獣となりますので、お値段は、ある程度致しますが、魔力は自然に取り込みますので、餌も不要ですし、排泄もしません。」

「どれくらい、躾けてある?」

「まだ、出現後、数日といった所で、まだ、躾けは出来ておりません。河べりでも大人しく抵抗なく捕まったため、元々、おとなしい性格と思われます。」


ほおおお!

氷猫!そうなんですか!

はまじゅう?

破魔獣なんですね。何か頭の中で漢字変換されましたよ!!!


餌要らないって。あんなに無理して食べたのに。ガッカリすぎて、ため息しか出ない。

大人しいとかじゃないんですけど。

ただ、お腹壊してただけなんですよね?


そういや、確かに、全然排泄してないわー。

だからか。今の私にとって、食べ物じゃないもの食べたから、体調悪くて動けなくなったのかー。

あー。この檻が、クッションでフカフカーとかだったら、いいのに。固いし。


買われる時が脱走のチャーンス!


って思ったのに、なかなか買い手はつかなかった。

難しいんですって、私を飼うの。


そりゃそうよね。いきなり懐けって言われても、無理だし。


そうこうしている間に、1か月ほど経過した。

この世界の暦がわからないのよね。

あーもー、退屈ー。

そんなある日、突然、商人の家から馬車で私の檻は持ち出された。


通された屋敷の中の一室。

ズラリと、大人が取り囲む中、5歳くらいの男の子がこれぞ魔方陣!っていう円の真ん中にいる。


怖いよ。何だよ。


男の子は無表情に、手を前に出すと、フワリと、光に包まれた。


へええ!私が破魔獣とかだから、やっぱり魔法が存在するんですね!!

怪しい何ちゃって儀式じゃないんだー!


「おいで。」


男の子が手招きする。


カチリ


扉が開いて、何だかキラキラが綺麗で、ちょっと好奇心が勝ってしまった。


トトトピョーンって肩に乗り上がって横顔を見る。


無表情だったその顔が、ぎこちなく笑った。


可愛いなぁ。この子。


「僕の友達になってくれる?」


友達かぁー。いいよー。


ミャオンっと鳴いたらキラッキラの虹色の光が、身体を這った。


ええこれって契約??


どうも契約だったらしい。

それから、私はこの男の子、レンのペット兼破魔獣になった。


「レン様、破魔獣に名をつけられてください。」

「名前か。じゃあ、今日から、ミイと呼ぶよ。」


レンの勉強を横から見て、この世界を学んだ。

あんまり興味ないことはうろ覚えだけど。

一般常識は身についた筈だ。

ま。猫だから、関係ないけどね。


レンは10歳になったけど、相当、力のある魔術師らしい。

レンの練習する時の、キラッキラの魔力が大好きだ。

いつ見ても、何回見ても飽きない。


なのに、レン、無愛想だし、ヤンチャっ子でねー。興味ない事は徹底して面倒くさがり。


猫だし、発語はミャオンとか、ミャーだし、あんまり突っ込まない。


猫様は勝手気ままが、1番。


忠誠を、求められる犬子さんじゃなくてよかった。


契約したおかげで、檻は出られるし、レン、いいとこの(なんと公爵家)のお坊っちゃんだったし。


レンの部屋、ソファーも、ベットもフカフカー。何と、私用のベッドまで用意してもらったー。いやっほーい。


流石にね、5年も住んでたら、屋敷の事も、近所の事も詳しくなりますよ。


レンといると、レンの魔力を少し吸収してるみたいで、レンがどこにいるのかよーくわかるし、レンの気持ちが正か負の感情かはわかる。


今日もとびきり美少年になったレンの肩に乗って、魔術の基礎訓練に付き合う。


家庭教師だけじゃなく、学校に行く事が増えたらしくて、昼間なかなか家に居ない日が増えたけど、朝の日課は欠かさない。


毎日繰り返しで、今日の自分のコンディションを確認してるっぽい。


猫は本当に気楽でいいわー。本当は、氷猫という名前の通り、暑さにはめっぽう弱いんだけど、夏はレンが氷魔法がかかった首輪をくれるから、快適快適。冬は氷属性がダダ漏れにならないようにしてくれる。


公爵家の使用人さん達もね、夏は私がいると、クーラー効果みたいで、俄然可愛がってくれる。冬はちょっと皆んなビビリだけど。


更年期のおば様達には冬でも大人気よ!


あとはー。料理長ね。夏に氷を魔力でシャーベット状にしてシャリシャリ食べてたら、驚いてて。

そう。氷猫だから、水と氷オッケーだったのよー。シロップとか混ざりもんはダメだったけど。


その後、どうも、魔術師さんにシャーベットにするように頼んでみたらしいのよね。でも、どうしても加減がわからなかったみたいで、ガッチガチ氷にしかならなかったらしく、氷を食べてると、見に来るようになって。食べた事なかったら、想像できないのかなぁ。


ちょっとやってみてくれないかなぁ。なんて、多分、ダメ元でゼリーとかジュース持ってきたんだよね。料理長すごいね。シャーベットの概念ないのに、かき氷とかシャーベット思いついちゃったなんて、本当、尊敬するわ!


氷猫にとって、そんなの簡単だから、全部シャーベットにしてあげたら、もう、大感激されて。


そう。スプーンの通る程よいシャリ感がいいんですよ!!!


美味しいは正義!


そのかわりに、水に対して口の肥えた猫様な私の為に、毎朝、湧水地の新鮮な水を持ってきてくれます。


いいでしょ?こんな猫ライフ。

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