第13話 冒険者アルリエル
今日どこまで更新できるだろう……。
明日までに49話まで行けるのか?
私は、冒険者をしているアルリエルという者だ。
今、私達は危機に瀕している。
どうゆうことだって?
あぁ、説明しよう。
私達は冒険者パーティー疾風の狩人。
名うての冒険者パーティーだ。
メンバーは私がSランクで、前衛二人がAランク。後衛の魔法使いがBランクだ。実力ならAランクでも良いのだが、昇格するには、強いだけではダメなのだ。実績が必要なのである。
そんな私達は、冒険者ギルドで依頼を受け。死神の森へと来ている。
鬱蒼と生い茂った木々が不気味な場所だ。
依頼の内容は生態調査だ。この森に住む魔物や生物を記録する仕事。
定期的に行われる依頼で、私達も初心に帰るつもりで依頼を受けたのだ。
本音は楽な割に報酬がいいからである。
楽な仕事のはずだった。依頼を受けた時はそう思っていた。
私達は、この依頼をすぐに後悔する事になった。
少し進んだところで異変が起きた。
魔物達が、騒いでいる。
何事だ?
そう思い、原因を探るべく、奥へと進んで行った。
この時に引き返していれば、あんな目には合わなかったろう。
「おい、もしかして魔物集団暴走なんじゃないか? 急いでギルドに報告しよう」
前衛のローダスが提案する。
普段は粗忽だが、こう行った場面では冷静になれる。
Aランク冒険者であることも頷ける、良い判断だ。
「そうしよう」
そう判断して踵を返す。急いで応援を呼ばねば王都まで来られたら厄介だ。
やれやれ、資源が豊富だからとこんな近くに都を作るとは、この国の初代国王は考えなしだな。
ついつい悪態をついてしまう。
早く戻ろう。
「ダッシュです。ローダスさん背負ってください。体力温存です」
「俺がバテるわ。自分で歩け」
ぶーたれるフィリア。彼女は良きムードメーカーだ。ここぞと言う時に緊張をほぐしてくれる。
「二人とも、じゃれてないで急ぎますよ」
彼はユリウス、パーティーのまとめ役だ。頭がキレ作戦や備品の買い付けメンバーのフォローをこなす。
このパーティーを繋げる手綱のような存在だ。
目立たないが……。
王都へと、急ぎ戻る。
その最中でも魔物は襲いかかってくる。
「鬱陶しい! キリがないぜ!」
「相手をするな突き抜ける!」
「ダメです! 前にも魔物が!」
アルリエル達は、次々と現れる魔物の群れに翻弄され、遂に囲まれてしまった。
「くそっ! これじゃあ王都にたどり着けねぇ」
「このままでは都に向かいかねませんね」
「えっと、はぁぁ。やっぱりですよね……。逃げたいのは山々ですが、逃げ道はありませんし、最後は冒険者としてかぁ……」
「あぁ、ここで少しでも数を間引く」
アルリエル達は、冒険者として魔物に立ち向かうことを選んだ。
最後まで戦う。それが冒険者の私に出来ることだ。
剣撃が魔物をとらえる。
魔法が密集した魔物を一網打尽にする。
「邪魔だどけぇ!」
「魔力が残り少ないです! 援護へっちゃいます!」
「僕がフォローする。二人とも踏ん張れ!」
「あきらめるな! ここで食い止めるんだ!」
魔物達の攻撃はさらに激しく、荒々しく、そこは無秩序な野生の坩堝と化していた。
魔物達がアルリエル達を囲んだ。いや、魔物が増えて密集状態になっていた。
魔物同士でさえも殺し合っている。
アルリエル達は傷つき憔悴し、満身創痍の状態になっていた。
死が、すぐそこまで迫って来ている。私達に抗う術はない。
「くそっ! ここまでか」
「あきらめるな! まだ誰も死んじゃいない!」
「だけどこのままじゃあすぐに死んじゃうよ〜!」
アルリエルは、静かに決断する。
「みんな、逃げてくれ。私が囮になる」
エルフである私は、彼らよりも長く生きている。
若者の未来を守る事も、年長者としての勤めだ。
「バカ言うんじゃねぇよ! 仲間を置いて行けるわけねぇだろ!」
「そうだね、キミを置いてなんて行けないよ。それにキミを囮にしたってすぐに追いつかれるさ」
「そうですよアルリエルさん! 私達は運命共同体です。死ぬときは一緒ですよ」
私は良い仲間を持った。今まで数多くの仲間達と出会い別れて来たが。お前達ともう少し冒険したかった。
すまんな。付き合わせてしまって。
「お前達……。バカな奴らだな。私なんかに付き合うこともないのに。人間の一生は短いのだろう。うまく生きればいいものを」
「はっ! エルフのアンタは充分生きたってか。俺から見りゃただの口悪い小娘なんだがな」
私はお前の数倍生きているのだから、小娘はないだろう。まったく……。
だが悪くない。1人で逝くわけではないと、思えるのだからな。
私は案外寂しがりなんだぞ。
「ふっ、言ってくれるな、ローダス。……すまない。この窮地、脱して見せるぞ!」
強がりだ。最後まで勇ましくありたいのだ。
さぁ、死に際に派手な花を咲かそうではないか!
「腹は決まりましたね。では行きますよ」
「魔法はあまり期待しないでください。もう魔力がすっからかんで……」
「じゃあ肉弾戦しかねぇな。蹴散らすぞユリウス! フィリア!」
「ええ!」
「ふえ〜! こうなればもうヤケです! 撲殺しますよ〜!」
皆が覚悟を決めたその時だった。
私達の目の前に、突然一人の少年が現れた。
! 子供!? こんな所にか!?
少年は目を輝かせて私達を……いや、私を見ていた。
ん? 誰かに似ているような。気のせいか?
誰かに似ていると思うのだが、うまく思い出せない。
突然現れた子供に、ローダス達も驚いているようだ。
「なっ!? 子供!?」
「おい坊主! 何してやがる危ねぇぞ! 早く逃げろ!」
ローダス達が子供を守るように魔物との間に立つ。
子供は私のことをずっと見ている。恥ずかしいな、なんなんだ?
不思議に思っていると、少年が奇声をあげた。
「うぉぉぉぉ! エルフきたぁぁぁぁぁぁー!」
「「「「へっ?」」」」
思わず間抜けな声を出してしまった。他の者も同じく、間抜けな声を出して呆けている。
少年が話しかけて来た。
「エルフの人ですよね! ね!」
グイグイ来るな、この少年。
呆れてしまった。エルフがそんなに珍しいのか?
一体この少年は何者なのだろう。この森は子供には危険なのだが、こんな奥まで一人で?
いやいや、同行者がいるに違いない。
あたりを探すが見当たらない。
とりあえず返事をしよう。
「あ、ああ、そうだ。私はエルフだけれども……君は?」
「僕はリットって言います。王都にある黒猫亭っていう宿屋で働いています」
黒猫? 以前仲間だったり、敵だったりした女冒険者を思い出す。
懐かしいが、今は思い出に浸っている暇はない。
「あ、あぁそうなのか。私はアルリエルだ。アルでもリエルでも好きに呼んでくれ」
「ではリエルさんで!」
嬉しそうに名前を呼ぶ少年。
いやそんなキラキラした目で見られても……。今はそれどころではないんだ。
何とかこの子を助けられないか。まだ死ぬには幼すぎる。
ふと、視線を胸部に感じた。
少年! 君は状況がわかっているのか!?
発情している場合ではない!
生きて帰れたら好きなだけ見せてやるから!
今は守られていてくれ。
「おいマセガキッ! 早くこっから離れろ! もう持たねぇ!」
あっ、ローダスに気づかれているじゃないか。露骨すぎるぞ少年。
「もう無理ですよ! 囲まれてしまっている!」
「せめてこの子だけでも!」
「少年! キミは逃げるんだ。私達が何としても時間を稼ぐ!」
そう、君はまだ生きなければならない。そして伝えてくれ、私達は勇敢に戦ったと。
ん? おい。なぜ逃げない。
「おい少年! どうしたのだ!?」
まさか足がすくんで動けないのか!? くそっ!
このままでは小さな命が散ってしまう。何とかせねば。
そう思った瞬間だった。
ブワッ!
魔力の渦が少年を覆う。
「こっ! この魔力は!」
少年の周りに、次々に剣が創造されていく。
「これは魔法!? いや違う! 加護かっ!?」
「でもこんな魔法も加護も、見たことも聞いたこともありませんよぉ〜!」
何なんだ一体、少年! 君は何者だ!
私は目の前の光景に絶句した。
そこには無限とも言える剣の葬列が空に浮かんでいた。
なんて魔力! それに魔力操作だ!
アルリエルはその技術を賞賛した。
少年が空中にあり剣を動かし始めた。
「無限装填剣」
無数の剣が宙を舞う。
少年が一つ指を鳴らす。
「さぁ召し上がれ」
その言葉がトリガーになり。
剣の雨が魔物達に降り注いだ。
その後は一方的であった。