1話
彼は、神社好きである。
毎週神社巡りをしているのだ。
彼の神への信仰心がここまでしているのだろう。
・・・・しかし現実はそうではなかった。
彼、青木勇史は異世界に憧れを持つ高校二年生で毎週休みの日には神社まで異世界に転移させてください!と神頼みをしに行っているのだ。
彼は勇者に憧れ、異世界で勇者としてみんなの為にドラゴンとか敵を倒すことが夢なのである。
◇ ◇ ◇ ◇
ある日、学校で体力テストが返された。
僕は結果を知って、愕然とした。
握力 20kg
学年男子順位 250人中250位
学年最下位である。
握力が最も弱いのは分かっていた。それだけだったら、僕の心は折れなかっただろう。
全体の評価 F
学年全体を調べてもFは僕1人。
毎日筋トレ、ランニングを続けてこれである。
努力は人を裏切らない
誰が言ったかなんて知らないけど、この言葉は嘘だ。
裏切ったよ。バッサリと。この世界マジでクソだわ。何が勇者だ。自分を殴りたい。
その日、初めて、神社に行かずに家に帰った。
その夜、夢を見た。
僕の横にイケメンがいて、その横には美人な女子高生?がいた。
そして、綺麗な人が僕らの前で微笑んでいた。
周りには何も無く、辺りがぼうっと淡く照らされていた。
「ごきげんよう。私はあなた達のいう所の神という存在です。あなた達は見事勇者として選ばれたのです。」と言ってきた。
喜ぶ
→可哀想な目を向ける
馬鹿みたいに動揺する
少し前の僕なら興奮したかもしれない。が、今は目の前の美人さんがイタイこと言っているようにしか聞こえない。
よって、可哀想な目を向けるのであった。
しかし、他の2人の行動は違うものだった。
1人は喜び、歓喜し、もう一人は恭しく頭を下げた。この人たちは馬鹿なのだろうか。
そうすると、自称神様は、僕の方を向かずに「あなた達には異世界に行ってもらい、2人で世界を救ってもらいたいのです。」と言った。
オイ、こっち向けよ。
「では、あなた達には勇者に相応しい取っておきのスキルを与えましょう!」と言い、2人に手をかざした。
すると、2人の体が淡く光った。
というか、完全に無視されている。何、可哀想な目向けたから、こんなことされてんの!?ひどっ!?心狭っ!?
「あなた達には光【魔法】と鑑定、言語理解、限界突破のスキルを与えました。それでは、頑張ってください!」と言って、僕らを異世界に送ろうとして…って、僕には何のスキルも無しかよ!
「あのー、自称神様ー、質問いいですか?」
「何です?無礼な人」
無礼な人って僕か!?だが、大人な僕は話進めるため、敢えて突っ込まない。
「僕にはスキル無いんですか?」
「貴方なんかに与えるスキルは無いです。」
笑顔で言い切りやがった。
「いやいや、一応僕も勇者何ですよね!?だったら、死なないようにスキル与えた方がいいんじゃないか?」
「えっ…貴方は勇者じゃないですよ…。」
は…何だって?
「じゃあ、何で僕はここに?」
「貴方が毎日、異世界行きたい行きたいとうるさいからじゃないですか。願い叶えてあげるだけ感謝して欲しいですね。」
な、何!?聞こえていたのかよ!?でも、勇者じゃないにしろ言語理解だけはないと困る。どうにか手に入れてやる!
「では、せめて言語理解だけはくれませんか?」
「そうですね…さっき言った、自称神様っ言うのを取り消し、神様と言えば許してあげましょう。」
…チョロ!!そんなことでいいのかよ。もうちょい、スキルねだれば良かったかな。まあ仕方ない。
「分かりました。神様!」土下座をしてみる。
「ふふ、いいでしょう。貴方に言語理解を与えましょう!」
チョロい。チョロすぎる。こいつ、馬鹿なんじゃねえの?まぁ、案外イイヤツかもしれんな。
「さぁ、行きなさい!そして、世界を救うのです。そして、貴方は言語理解だけで何処まで行けるか、見ものですね。ふふふ、せいぜい足掻いて下さい。」
訂正…絶対こいつ泣かす!
こうして、僕らは異世界に飛ばされた。
◇ ◇ ◇ ◇
気がつくと、自分の部屋にいた。
夢だったらしい。なんかムカムカする。期待したら、夢オチ!?って感じか。
僕は何か腑に落ちない感じのまま、スマホを眺めた。
すると、メールがきていた。僕には友達がいないから、当然メールアドレスも誰とも交換していない。だから、メールが届くのを初めて見た。
ちょっとドキドキしながらメールを開くと、こう書かれていた。
”貴方には、めんどくさいので後で転移させることにしました。独りぼっちで頑張ってね~ぷぷっ
美人な美人な神様より”
夢オチじゃなかった。というか、めんどくさいってどういうことだ!!!
おかげでボッチで異世界かよ!決めた!ゼッテー自称神様泣かす!
…その前に、詫び請求しよう…
神様に会えそうな場所…神社かな?
という理由で神社に来ました!
チャリン…パンパン…
(神様、神様、ボッチは辛いので何か新しくスキル下さいませ…)
くれなかったらマジで泣かす。
(んースキル欲しい?)返事返ってきた。マジで通じるのかよ…
(はい、欲しいです。)
(ど~しよっかな~?え~?欲しいの~?しょうがないな~、じゃあ、何か褒めなさ~い。)
このクソババアめ、褒めろってどこをどう褒めりゃあいいんだよ。悪い印象しかないから、褒めれないな。
まぁ、適当に褒めててもどうせ大丈夫だろ。
(神様はとても美しいですね。)
(何言ってるの。当たり前じゃない。当たり前のことは言わなくていいから。)
クソ自称神様は要求が高くていらっしゃる。
何がいいんだよ。う~ん、よし、適当に言っていこう。
(よっ、全知全能!!)
(いや~それほどでも~照れ)
マジでか、やはり自称神様はチョロかった。
(よし、それじゃあ、君に鑑定のスキルを与えるね。ついでにそのまま飛ばすから。頑張ってね~せいぜい足掻いてね。)
はい?攻撃系のスキルが欲しかったんですけどーー!
僕の意識はそのまま闇の中に入っていった。
読んでいただきありがとうございます!!!
どうも作者です!
感想等お待ちしておりまする!
次回は9月16日中に更新するのでこうご期待!
ではでは~