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白兎の従者~一文字で大きく違う異世界転移~  作者: ゆうき
第3章 異世界の森での危険すぎる緊急依頼
29/62

3-11

「あ、ナオヤさん!もう歩いて大丈夫なんですか?」


動けるようになったので、早速ギルドへやってきた。


はやくギルドのランクを上げて割引サービス受けないと、マジやばいのだ、財布が。


「おう、ナオヤ。まるで生まれたての仔鹿みたいじゃねか」


「はははははは!いやあ、ウケる!」


「「「「「「「「「「「ウケる!」」」」」」」」」」」」


おい、みんな心配してたんじゃないのかよ。


というか、なんだ、この団結力。


俺を馬鹿にするのにそこまで結束しなくてよくね?


「ほら、あなたたち邪魔よ。これからカードの更新するのだから」


「「「「「「「「「「「失礼しました!ルナさまの仰せのままに!」」」」」」」」」」」」


本当にすごい団結力だよ、あんたら!


まあ、あれだけの激闘があったのにギルドメンバーのみなはすこぶる元気なようで、満身創痍状態なのは俺だけのようだ。


杖を突いて歩くのは登山でなんども経験してるが、平地で使うのは初めてだ。


なんか自分がジジイになったようで嫌なのだが、これが無いと歩きにくい。


ここまでしてでも更新したいのだ、マジやばい、財布の中身。


兎の見立ててよりも2日早く動き出してでもやらないと、あと銅貨で90枚くらいしかないんだよ、財布の中身が!


リアクションする元気もないのでミラさんの居るカウンターまで足を運び、苦笑いしながらお願いした。


「まあ、こんな感じです。でも一刻も早く更新したいんですよ。お願いできます?」


「解りました」


何とか取り出したギルドカードを渡し、準備してもらう。


青い宝玉に手をかざすのも辛いのだが、これ他の人の手を借りるとちゃんと更新されないので仕方がない。


結構な時間、前回よりも長い時間を掛けて更新されていくカードをまだかまだかと待っている。


やがて青い光が一層輝いたと思うと、更新は終了した。


ミラさんはカードを装置から取り出すと、内容を確認しだした。


「あ、ちゃんとレベルも上がってますよ!」


「ありがとうございます。あ、文様も変わってますね」


「はい。これはセカンドランクである銅証ブロンズの証です。ナオヤさん、今日からあなたもブロンズですよ、おめでとうございます!」


「おうおう、等々ナオヤもブロンズかぁ」


「これで俺たちに並んだじゃねえか。おめでとう!」


「「「「「「「「「「「おめでとう、ナオヤ!」」」」」」」」」」」」


「あ、ありがとうございます」


ほ、本当に団結力が強い人らだよ、まったく。


銅証ブロンズを持つギルドメンバーはもう初心者じゃない。


これから俺もやっと一人前として認められる証を手に入れたんだ。


そう思うと嬉しくて仕方がなかった。


「お、ナオヤじゃねえか。もう出歩けるんだな」


「ノランさん。すみません、ご心配おかけしたようで」


「ああ、まあ、気にすんなよ。それよりブロンズに昇進したんだな、おめでとう」


「ありがとうございます」


どこかへ出掛けていたのだろう、ノランもやってきて祝福してくれる。


この人だけは他の人と違って素直に心配してくれるから、とても嬉しい。


まあ、他の人も本当は心配してくれてたんだろうし、いわゆるこれはツンデレさんたちなんだろう、あの人らは。


野郎のツンデレなんて誰得だから、やめてほしい。


うん、ちゃんと心配してくれてたよね?


「それで、内容はどうなってるんだ?更新したんだろ?」


「あ、そうですね」


そう言えばまだ更新されたカードをちゃんと見てなかった。


そして俺のカード情報がどうなったかと言うと。




名前:ナオヤ・トウドウ


種族:人族(男)


レベル:10


クラス:●●の従者


スキル:サバイバル、限界突破(限定)、剣術(初級)、二刀術(初級)、総合戦闘術(初級)


加護:嵐神の加護


称号:白兎の守り手




「レベルが10まで行ってるじゃねえか。それに武技系のスキルも育ってるようだな」


なんとレベルが7も上昇していた。


しかも、見習いだった剣術や二刀術も初級になってるし、新しいスキルも覚えている。


この総合戦闘術とは、ノランの話によると武器だけではなく体術なんかも組合わせて戦う者が持つ戦闘技術らしい。


ちなみに武技系とは剣術や格闘術なんかの戦闘術の事らしい。


魔法で戦う場合なら魔闘系なんだってさ、俺には関係ないけどな!


「よっしゃ!いっててて」


「おいおい、無理するなよ」


「そうですね」


「ふう、浮かれるのは良いのだけれど、これ以上怪我しても治さないわよ、私」


「ぐっ、この。そういや、お前はカード更新したのか?」


「ええ、もうしてあるわよ」


「見せろよ、お前のも」


「や、やめとけ、ナオヤ」


「え?なんで止めるんですか?」


「ノラン良いじゃない、この冴えないオスに真実を教えてあげないのは可哀想よ」


「冴えないとか言うんじゃねえよ!いいから、見せろ、この齧歯類!」


「言ったわね!いいわ、見せてあげる。そして絶望しなさい!」


睨み合った俺たちの、俺の前に兎のカードが突き出される。


俺はそれを食い入るように睨みつけた。




名前:ルナ


種族:白兎メス


レベル:12


クラス:白兎の●●


スキル:光魔法、雷魔法、合成魔法、戦闘指揮、気勢操作


加護:月神の加護


称号:白き獣、高貴なる智獣、森の女王、森の戦術家、舌戦の魔術師、極光使い、最弱魔物の天敵(ゴブリンキラー)魔を討ちし者(スレイヤー)




「お、俺よりもレベルが高い?称号が増えてる?な、なんでだ?」


「ああ、だからやめておけと言ったのに」


「まあ、私に相応しい称号ばかりね」


「待てや!レベルはまあ、この際だが、なんでお前しか称号増えてねえんだよ!」


「あら、ゴブリンキラーならノランたちジェネラル級以上を倒した者は全員得ているわよ」


「あ、おう、俺も今回で称号が増えたな」


「あ、俺らは全員、死地を生き抜けた者、なんて称号もらったぜ」


「自警団のやつらもだよな」


「そうなんですか、おめでとうございます。って、ちがーう!」


「なによ?まだ文句があるのかしら?」


前回の更新の時も思ったが、なんで俺は称号が増えなくて、この兎はどんどん増えてるんだ?


それに今回は参加者全員、俺以外は全員称号が増えてるじゃないか。


なんで、俺だけ増えないんだ。


それがとてもじゃないが、納得いかない。


「文句というか納得いなかいんだよ。なんで俺だけ増えてねえんだよ!」


「あ、それね。一応考察したのだけれど、聞きたいかしら?」


「もちろんだ!」


「あなたも知識にはあると思うのだけれど、貴族が物事を行うと、それが色々な形で帰ってくるわ」


「は?いきなり何を言ってるんだ、お前?」


「行った内容や結果で良し悪しが反映されるのよ、色々な形でね。それは物理的なもの、精神的なものを問わずよ」


「いや、それは解るんだが、何が言いたいんだ?」


「そしてその結果が、その貴族の評価になるのよ。今回で言えば称号ね」


「それで?」


「でもね。貴族って命令はするし、陣頭指揮はとるけれども、自らの手足でそれを成すことは稀なのよ」


「や、だから何が言いたいんだよ?」


うん、マジ何が言いたいかわからん。


しかし俺以外は解っているのか、俺を可哀想な目で見るやつや、羨ましそうな目で見るやつまで居る。


なんだ、この状況?と首を傾げたあたりで、兎はやっと結論を言い出した。


「じゃあ、実際に動いたのは?それは部下であったり従者よ。実際に動いたのは従者でも、その結果を評価されるのは命令した貴族なの。」


「へ?あ?ああああああああああああ!?」


「やっと解ったようね。私が命令してあなたが動いた結果、その功績は全て私のモノになるのよ。なぜならあなたは私の従者ですもの」


「う、うそだあああああああああああ!?」


「真実を証明する事に特化した神が認めた事実を考察した結果だから、おそらくこれこそが真実よ。これからも私の為に励みなさい」


お、俺がやったことが全部兎に反映されるだと?


俺よりレベルが高いのも、俺にはない称号がいっぱいあるのも、まさかその所為だってのか!?


「ぜ、絶対に嘘だ!これは幻だ!俺が兎の、この毛むくじゃらの齧歯類の従者なんてありえるかあああああ!」


「ま、また齧歯類と言ったわね!言わないでと何度も言っているのに、まだ言うのね!どれだけ冴えない頭してるのよ、あなたは!」


「お前こそ、冴えない冴えない言うんじゃねえ!」


「いたっ、あなた、私の高貴なるうさ耳を掴むんじゃないわよ!」


「うるせええ!今日こそその毛皮全部剥いで吊るしてやらああ!」


「上等よ、表に出なさい!格の違いを見せてあげるわ!」


「おう、返り討ちじゃぼけええ!」






なあ、そこのあんた。


信じられるか?俺異世界に居るんだぜ。


異世界に居るのに、白い兎の従者とか言われたんだぜ?


そんなの信じれる訳ないよな。


だから断固抗議して、俺の方が上だとこの白い毛むくじゃらの齧歯類に教え込む必要がある。


あんたも同じ目にあったらそう思うだろう?


「往生せいやああ!」


「ふん、成長しないオスね。サンダーボルト」


「あばばばばばば」


「まあ、うん、いつも通りだな」


「そうだな、いつも通りルナさまの勝利だよな」


「つうか、ナオヤはルナさまの従者であることのどこが不満なんだ?」


「羨ましいよな、絶対」


「「「「「「「「「「「すげえ羨ましい!」」」」」」」」」」」」


あれ?俺以外そんな事ないの?


羨ましいならいつでも変わってやるぞ、白兎の従者なんて。


だから、な?いつでも言ってくれ。


二つ返事でOKだからさ。


「はあ、空しいわ。そして悲しい。これが私の従者だなんてね」


それは、俺の台詞じゃぼけえええええええええ!


と、叫びたくても痺れててまったく声にならない。


ああ、マジ、この白兎、ムカつく!


何時かこいつをぎゃふんと言わせてやる!と心に誓うのであった。

ここまでお読み下さった方、本当にありがとうございます。


と、言うとここで完結みたいですが、まだ続きます。

この話で一応序盤が終了した形になりますので、間話とかを挟んで次の第4章から新しい展開になります。


ナオヤとルナはまだまだがんばりますよー。

それでは。

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