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乙女ゲームに巻き込まれました。

今日も乙女ゲームに巻き込まれたらしい

作者: 秋兎

「乙女ゲームに巻き込まれたらしい」を先に読んでいただけると話がわかりやすいです。

「宮原さん! あなたは転生者、僕の仲間だよね」


桜もとっくに散り、梅雨のジメジメさが迫りつつある今日、私はクラスメイトに謎の仲間宣言をされました。


転生者であることは否定しないけど、仲間ではない。



「……青島くん、君は一回病院に行った方がいいと思う」


そのまま去ろうとする私の肩をがっしりと掴み逃げようとするのを抑え込んだクラスメイト青島くんは目をキラキラとさせ、興奮しながら話し始めた。


「否定はしないんだね。やっぱり僕が思っていた通りだ。だって、君は僕の知っている宮原蘭兎じゃないし……それに転生者だから主人公の邪魔をしてるんだよね」


僕の知っている宮原蘭兎? 転生者だから主人公の邪魔?

私は頭を傾げ、ゲームを思い出そうとしたが頭の中に薄いベールが掛かったかのように思い出すことができなかった。

大体にして私の中にある前世の記憶はとても少なく、断片的でしかない。

ゲームだと思い出したのも主人公達のやり取りからだし、幼馴染が攻略者だと知ったのも最近だ。

ただ一つ。主人公の邪魔は戴けないな……。桃花ちゃんは私が幸せにします。


「仮に転生者だったとして青島くんは私に何のようかな」


そこまで言うと青島くんは肩を落とした。

まるで優等生が物覚えの悪い者を嘲笑うかのように顔を歪めて笑う。


「宮原さん、それは冗談で言ってます?」


あーあ、悪い顔だな。

これは緑河といい勝負かもしれない。

私が青島くんをぼんやりと見ていると、口を尖らせて拗ねたようにする。

コロコロと表情が変わる人だな。


「ごめんなさい、転生者であることは認めるけど記憶が全部あるわけじゃないから曖昧なの。冗談を言いたいわけじゃないわ」


私は至って真剣だし、今まであまり話したこともないクラスメイトにここまで言われて若干引いている。

更に言えばさっきから近くないかな?女の子なら嬉しいけど男はノーセンキューです。


「……全部記憶があって行動してるわけじゃない?」


青島くんはぽかんと口を開けこちらを見る。


「私が思い出しのはここが「色恋」というゲーム内だということと攻略者などの名前に色が入っていることくらい。他に自分が前世ではどんな人物でどんな生活を送っていたのかはわからないんだよね」


改めて言うと私の記憶は無いに等しい。思い出したことで何か変わった事はないし、しいて言えば生徒会に何故巻き込まれたのかが未だわからないのだ。

本当のゲームシナリオでは宮原蘭兎は生徒会に入っていたのだろうか。


「そっか、宮原さんは知らないのか……」


見て驚くほどに肩を落とす青島くんに何と無く罪悪感が芽生えてしまう。


「なんかごめんね……青島くん。あっ、青島くんの知る私ってどんなキャラなの?」


これからこの世界で生きるとしてあまり目立つのはよろしくない、と思う。

あらかじめどういったキャラなのか知っておけば行動もしやすいだろうしね。


私の質問に青島くんはすんなり答えてくれると思ったが、予想外に「あー」とか「うー」と唸り、躊躇っているようだった。

しばらく考え込んでいたが、私を縋るような目で見てからやんわりと腕を掴んだ。


「宮原さんって本当は男だったりしないよね?」


……はい?

ワタシ、男ミエル?


混乱して片言になってしまった。

青島くんはコクリと唾をのむと真剣な表情で私を見る。


まさか、本気で疑ってる?


「あ、青島。いくらなんでも男はないよ」


「……だよね」


この反応は疑ってたな。

眉をハの字にさせこちらを窺う青島くんは落胆しているようだった。


「あのさ、もしかして私のキャラって男だったの?」


そう聞くと何も言わず頷く青島くんにやっぱりか……とため息をついた。


「男キャラか……。で、どんな立ち位置だったの」


「宮原くんは主人公のサポート役で……生徒会になくてはならない存在なんだよ!」


いつの間にか「宮原くん」と変わったことも気になりはしたが、それ以上に生徒会になくてはならない存在と言った時の青島くんの恍惚とした表情に背筋にぞわわわ、と何か走ったような気がした。


「あの、青島くん?」


「僕はね、宮原くんと生徒会の恋愛が好きで……」


そこまで言うと青島くんは顔を赤らめて腕を掴む力を強めた。


「……私のキャラも生徒会の皆も男だよね」


ぞわぞわと這い上がる感覚に逃げ出したいが、青島くんは更に顔を赤くしてうんと頷いた。


「僕ね、腐男子って言って……その、同性同士の愛が好きなんだ」


恥じらいながら言う青島くんにそうなんだとしか返せなかった。


私は桃花ちゃんも他の女の子も大好きだ。でも、キスは出来ないし恋人になろうとは思わない。

でも、青島くんの言う同性同士の愛は恋人としての愛なのだろう。


青島くんは恥じらいながらも「会長とのキスは廊下でだと思うんだけどどうかな」とこちらに同意を求めてきた。


「いや……どうなんだろ」


記憶のほとんどない私にはわからないし、あまりわかりたくない。


「やっぱりわからないか〜、んー女の子だから主人公応援しようと思ったけど宮原くんと生徒会の絡みも捨てがたいなー、あっそうだここに連絡して」


手渡されたメモには青島くんの連絡先が書いており、絶対連絡してねと無邪気な笑みで言われてしまった。




今度は転生腐男子くんに仲間として巻き込まれたらしい。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

また書いたら載せようと思っているのでよろしくお願いします。

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