侵入者という隣人が入って来た。
ダンジョンへの入り口の場所が変なところになってしまいますた。
そして、すごろくの構成が今回出ます。
どぞ~
脳内でベルが鳴る音が聞こえ、目が覚める。
千里眼で入口魔方陣の方を見てみると、五人の男女の冒険者っぽいのがいた。
それを確認して眉を顰める。
ステータスの保護期間を確認してみたら、すでにダンジョン解放となっていた。
誰かが何かしたのか?
……一人心当たりがある。
まず間違いなく、ホシちゃんとやらの差し金だろう。
まあ、すでに一階層は完成してるので別にいいんだが。
むしろ、俺の今いる場所がヤバい。
一階層の真ん中である。
やるべきことをとっととやった方がよさそうだ。
ウーちゃんをここの中心に配置する。
そして、一階層全体に効果のある不死の結界を完成させる。
寝る前に少しづつ構成して、後一手間というところまでしておいてよかった。
この不死の結界はダンジョン内で冒険者が死んでも、無傷の状態でダンジョンの外に放り出されるようになっている。
ただし、所持金の半分と持ち物3割をランダムに、隠し部屋の方へ転移する仕組みだ。
あとモンスターにも有効で、倒されたモンスターは隠し部屋の方へ無傷で転移される。
これで安心設計のダンジョンが完成である。
冒険者たちは、どうやら入口の看板を読んでいるらしくまだこちらに向かってきていない。
空間魔法を使い、隠し部屋へと逃げる。
後は観察あるのみである。
冒険者の職業構成は男が剣士、戦士、盗賊で、女が魔法使い、僧侶というものだった。
平均LVが30と高めだった。
ステータスはデュラさんはもちろんファルコにすら勝てない位だったが。
まあ、俺なら瞬殺できるんじゃないか?
俺がじゃなく、俺をである。
看板の内容に首を傾げていたが、気にしない方が良いと判断したのかそのまま進んでいく。
そして、ウーちゃんとの戦闘である。
あっさり負けてしまったウーちゃん。
トボトボ俺の前へ座って、申し訳なさそうに顔を伏せる。
フォローしなくては。
「今回が初戦闘な上に相手が格上なんだ、当然の結果だよ。これからLVと技術を上げて行けばいいんだ。頼りにしてるよ」
俺の言葉を聞いて嬉しそうに尻尾を振るウーちゃん。
頭を撫でてやる。
てか、ウーちゃんが強くなり過ぎると進めなくなりそうだ。
まあ、強くなったら別の階層に配置で問題無いだろうけど。
さてさて、冒険者だが三方向への分かれ道をどっちに行くか相談している。
結果、左から行くことになったようだ。
そして台座の上に置いてあるアイテムを見て、盗賊が水を泳いで盗りに行こうとしたが、水はまるで生きているかのように盗賊を進ませない。
水の精霊王を持つ俺が水の精霊に依頼したのだ。
ダンジョン内は魔力が濃く、精霊達にとってとてつもなく最高の環境なのである。
その上精霊王である俺からのお願いなので、やる気満々で働いてくれている。
あと本家の精霊王がもし来ても、最高の住処を与えている俺の方の言うことを聞くようだ。
ついでに飛んで盗りに行けない様に、風の精霊にも依頼済みである。
盗賊がグッタリしてるのを見て、無理矢理盗るのは無理と判断した彼等は、看板を読む。
そして、すごろくの入り口から全員で入っていく。
ここですごろくのマスを紹介しよう!
□□□□□□□□□□□□□□□
□□ □□□□□□□ □
□ ゴ+穴 □ ス□板□□□入
□ - ⁻1 □□-戦 □ □待機□
□ + 戦 ⁻3 タ⁺3 □ □場所□水
□ 戦 □ ダ + + □□□□酒
□ 穴 ⁻2 万□ □宝 - □ 落
□ □ ⁺3 ⁻2 穴 ⁺3 □
□ 宝 ⁺6 □回 戦 ⁻2 □
□ 戦 - 戦 タ 宝□ □
□ ダタ□+拾 宝 □ □□
□□ □ ⁺4拾⁺1 □□
□□□□□□□□□ □□□
□□□□□□□□□□□□□□□
すごろくの説明だ。
サイコロを振れる回数は50回。
HPかサイコロ回数が0になるとすごろく入口に転移される。
スはスタート地点、+はお金を10~500ゲット、-はお金10~500没収、⁺3などは三マス進む、⁻2などは二マス戻る、拾は薬草や魔草などの隠し部屋で簡単に手に入るモノが拾える、タはドラ○エ御馴染みタンスであり何が入っているか(何も入っていない場合もある)はお楽しみ、戦は戦闘で今のところウーちゃんのみである、穴は落とし穴で止まると落下して待機場所の落に落ちてくる(ゲルが溜まっており落下の衝撃を吸収してくれるが、汚れる)、ダはダメージ床で10~50のダメージを受ける、万はよろず屋で攻撃不可の状態になっているところにラミアが武器やらアイテムを売りに行く、回は回復だけど次のすごろくからは宿マスの宿屋で金を取るようにするつもりだ、ゴはゴール地点だ。
スタート地点に入れるのは一人だけで、それ以外は待機場所内に居なければならない。
ただ、待機場所内にいるだけだと暇だと思ったので、すごろく中の仲間を観戦することができるようになっている。
ついでに、入口付近の待機場所には水と酒を10G払うことで大ジョッキ一杯分飲むことができるようになっている。
ちなみに、この世界のお金の単位はGのようだ。
1Pと1Gで交換できるようだ。
マスの空白部分は全て水が張ってあり、精霊が仕事をしている。
ゴールに止まると止まった一人だけが、アイテムのあるところに転移されるようになっている。
あと、あそこの扉は内側にだけドアノブが付いていて、内側からしか開けられない様になっている。
と、説明が長くなったが、看板にある程度のルールとクリア条件を書いておいたので、誰が最初に行くか相談しているようだ。
そして、万能型の戦士が一番手で行くようだ。
◇◇◇
戦士がスタート地点に立つと、大サイズのサイコロが出てくる。
戦士はサイコロを少し確認し、投げた。
結果4で300Gを失った。
仲間内からブーイングが発生。
焦りだす戦士。
もう一度サイコロを投げて2が出て、2戻って271Gを失った。
大ブーイングである。
涙目の戦士。
弱々しくサイコロを投げ、出た目は4。
とても嬉しそうな顔で宝箱を開ける。
鋼の斧が入っていたようだ。
宝箱の中身は作った物がランダムで入るようになっている。
そして、彼等の装備は鉄製がメインのようで、戦士に拍手である。
鋼の斧一つ買うのに3000G必要で、先ほど失った571Gで買ったと思えばかなりの儲けである。
笑いながらサイコロを振り、4が出た。
4マス進み、また4マス進み、落とし穴。
ゲル塗れの戦士が出来上がった。
仲間達から笑われる戦士。
ちなみに、戦士のLUKは44である。
きっと4に愛されていたのだろう。
◇◇◇
正直、すごく楽しそうである。
何か食べ物でも売りに行こうかと思うぐらい、楽しそうである。
ということで【万能樹木LV1・5000】を隠し部屋に配置してみた。
この万能樹木は、いろいろな果物を1日10個実に付ける木なのである。
LVを上げるとメロンやスイカ、イチゴなども実に付ける様になるようだ。
とりあえず、りんごやブドウなどを持ってすごろく場に行ってみた。
「こんにちわ」
「え?」
「こ、こんにちわ?」
剣士はすごろく中で、戦士と盗賊は観戦中だったようで待機場所には魔法使いと僧侶の女性二人がいた。
予想外に人が来たことで、ちょっと戸惑っているようだ。
「果物はいりませんかね?」
「えっと、いただきます」
僧侶の女性が答え、魔法使いの方は俺を警戒しているようだ。
俺はリンゴを差し出す。
「これは?見たことないですけど……リラの実に似てる、かな?」
「それはリンゴという果物ですよ」
「りんごですか?……いただきます」
僧侶がリンゴを齧る。
一口食べて驚愕の表情を浮かべた。
「これ、凄くおいしいです!クレサも食べてみなよ!」
「……一つ頂く」
「どうぞ」
魔法使いの方もリンゴを一口食べて虜になったようだ。
リンゴを両手で持って食べる女性二人が小動物のようで可愛い。
その姿を微笑みながら見守っていると、自分達の行動に気が付いて顔を赤くする二人。
「あの、その、これ御幾らですか!?」
「二つ合わせて3Gでいいですよ。これ等を全部買ってくださるなら10Gで」
「買う!」
魔法使いの女性はリンゴがお気に召したようで、俺の持ってきた果物を全部買っていった。
そして、のんびり会話をしていたら、剣士がゴール手前の落とし穴に落ちて男達が戻ってきた。
ここで思い出す。
この人たち敵じゃね?と。
「あん?誰だそいつ?」
「何でダンジョンにガキがいるんだ?」
ガキとは失礼な。
これでも二十歳だぞ。
良く中学生と間違われるがな。
そんなに小さいか?そんなに幼く見えるか?
ぶっ殺して強制排出してやろうか?
「くっそ、後ちょっただったのに……あのマスさえなければ!!」
剣士がゲル塗れだ。
俺も含めた全員が剣士から離れる。
剣士はそれを見て隅でいじけ始めた。
「そちらで水とお酒が飲めますので頑張ってくださいね」
これ以上ここにいると面倒なことになりそうなので、さっさと退散することにした。
空間魔法のテレポートで隠し部屋へと撤収。
あちらさんからしたら、狐に化かされた感じだろうな~
とりあえず、観察を続けようかな。
◇◇◇
少しの間俺を探していたようだが、いなくなったと判断して去り際に言った水と酒を確認している。
酒が飲めると分かった時の男達の喜びようが面白かった。
女性二人は水を半分ずつ飲んですごろく場から出ていた。
男達は酒を三杯ずつ飲んで、顔を赤くしながらもしっかりとした足取りで女性を追いかける。
彼等は次に右のフロアへと向かう。
通路を抜けるとすぐに宝箱が目に入る。
またしても盗賊が突っ走って宝箱へと向かう。
が、トラップの一つである【見えない壁・500】が進路を遮り、盗賊は何もない空間に激突する。
盗賊は特殊技能に【危機察知】を持っていたので、普通のダンジョンでならもっと優秀なのだと思われる。
鑑定して説明を見てもホシちゃんの偏見が混ざっているのでわからないが、本能的な部分で危険だと判断したことに対してのみ効果があるのだと推測する。
簡単に言っちゃうと、命がけじゃないと発動しないということだ。
そして、俺のダンジョンでは命を失うことはない。
なので、この結果なのだと思われる。
ちなみに、ここの落とし穴に落ちると入口の魔方陣に転移させられる。
何故このタイミングで言ったのかというと、通路をしっかりと確認していた僧侶が落ちたのだ。
焦りだす仲間達。
数分後に僧侶が合流する。
ここにいたりこのダンジョンが危険なモノではなく、侵入者をおちょくっているのではないかと思い始めているようだ。
おちょくっているつもりはないのだが、結果がこうなのだから否定できない。
それから壁にぶつかったり穴に落ちたり、壁にぶつかったりぶつかったりぶつかったりぶつかったりぶつかったり。
パーティー全員ブチギレ一歩手前で、やっと宝箱のある所に辿り着いた一同。
盗賊はカギ付き宝箱を開けようとし、他は木と鉄の宝箱を開けている。
開けられなかったようで、宝箱の後ろにある石像に蹴りを入れた。
そして動き出すファルコ。
口を開けて行動停止している盗賊を風魔法で吹き飛ばす。
盗賊は一撃で終了である。
他も一瞬で終わった。
あっけない終わり方だったな。
よし、敗北したら一日侵入不可にしよう。
明日だな。
今日は久しぶりに人と話したし、二階層でも作るか。
◇◇◇
視点・敗北パーティー
「……なんで生きてるんだ?」剣士
「……金が、半分無くなってる」戦士
「……持ち物もいくつかなくなってるな」盗賊
「このダンジョン怖い」魔法使い
「死んだのに生きてる……こんなの初めて」僧侶
実は彼等、アイリスのダンジョンがある場所からかなり近場にある町でトップクラスの実力者だったりする。
ちなみにアイリスのダンジョン入口は、町の近くにある森の中の湖の中心にある小島に蒼く光る魔方陣である。
言葉にするとめんどくさいが、簡単に言うと町出入り口から徒歩5分である。
そしてこの日から、アイリスのダンジョンは有名になっていくのであった。
ホシちゃんの感想
すごろく面白そうwww
私もやりたい!
うにゃー!!やりたいやりたいやりたい!!
ぐぬぬぬぬぬ……なんとかして私も行かなくては!
良いこと思いついた(^∀^)
すごろくは、私が制覇するのだ(☆◇☆)