平和なダンジョンと大変な外
次回は20階層。
挿絵でダンジョン構造を投稿しようとしたのですが、やり方がわからなかったのと予想以上にめんどくさそうだったので勘弁してください。
携帯だと見難いと思いますが、ご了承くださいな。
なるべくわかりやすくなるように努力はしますが、やっぱり見るならパソコン推奨です。
では本編どうぞ~
ホシちゃんとノーちゃんが遊びに来た。
もうダンジョンの入り口から入ってくるとかじゃなくて、こう、パッと目の前に来るのだ。
しかも甘える様に抱き着いてくる。
妹が居たらこんな感じなのだろうか……とりあえず頭を撫でておくか。
ついでに俺の呪いについて聞こうとしたら、エリスとソフィアが来た。
ちなみに、いる場所は五階層の鍛冶屋である。
「アイリスはいる……誰?アイリスの子供?」
「いやいや、そんなわけないでしょ?」
「まあ、今までいなかったもんね……私達の同業者とか?」
「こんな子供が……なくはない、のかな?」
ホシちゃんとノーちゃんは別格だから、ホントに子供が来たら泣かせない様に魔物達に手加減させないと。
「この二人はホシちゃんとノーちゃんだ。まあ、よく遊びに来る手練れだとでも認識しといてくれ。で?俺に何か用か?」
「あぁ、ちょっと武器の手入れの仕方を教えて貰おうと思って」
「なんというか、普通の手入れの仕方じゃ不安で」
オリハルコンの剣と魔法石の杖の手入れね。
あ、前に杖について言ってなかったけど、魔法石っていう空気中の魔力を集める性質を持った鉱石を使ってある。
ウチのダンジョンではそんなに大したことない物なんだけどね。
デュラさんの持ってる剣なんかは闇核っていう特殊な鉱石の剣らしいし。
槍とか斧とかに変化させられるらしいよ?
俺も作ってみたいが、闇核みたいな特殊な鉱石はまだまだインゴットに出来る量すらないんだよな。
ホントに鉱石が一個二個で……てか、今はどうでもいいか。
「剣の方は普通の剣を手入れする様にした後、魔力を全体に通してやれば大丈夫だ。杖は汚れが落ちる様にしっかり磨いておけばいい。空気中に触れる面積が減れば減るほど杖の効果が落ちていくから気を付けろよ?」
「そんなんでいいのか、伝説の剣……」
「国宝級の杖が汚れに弱いだなんて……」
二人ともショックを隠せないようだ。
何がそんなにショックなのか知らないけど。
落ち込んでる二人を眺めているとホシちゃんノーちゃんに服を引っ張られる。
「十八階層行きたい!」
「わ、私も行きたいです!」
「そうか、じゃあ行くか」
二人と手を繋いで転移する。
エリスとソフィア?
まだ落ち込んでたけど、大丈夫だろ。
というわけで、十八階層である。
そういえば、残りポイントいくつだったか。
ボスやら敵役の召喚で残り3000000P、まだまだ消費しきれないか……二十階層で沢山使おう、そうしよう。
とりあえず、今は遊ぶか。
「カジノだぁぁぁぁぁ!!!」
「ぁぅ……エッチです……」
ホシちゃんはカジノへ直行したが、ノーちゃんはサキュバス達を見て真っ赤になっていた。
というか、サキュバス達がほとんど下着で動き回っていた。
何やってんだ、あいつら?
なんとなく魅了の状態異常にかかりそうなので、ノーちゃんを抱えてカジノへ。
物凄く残念そうなサキュバス達が印象的だった。
限界ということなのだろうか?
何とかしてやりたいが、俺はダンジョン内の誰かに手を出すと強制的に全員と関係を持たないといけない気がするので、あまりそういうことは……男系の魔物召喚してやらないと。
悪魔系ならサキュバス相手でも体力というか精力が持つだろう。
一対四だとどうなるかしらんが。
カジノ内ではホシちゃんがルーレットで遊んでいた。
「ノーちゃんは何をする?」
「へぅ!?え、えっと、えっと……し、しゅろっとを!」
何故かノーちゃんは顔が真っ赤なままだ。
抱えられてるのが恥ずかしいのだろう。
まあ、今更なのでこのままスロットへ。
折角なので一緒にスロットをやる。
さて、ゆっくり遊ぼうか。
◇◇◇
ノーちゃんとスロットで遊んでいたら、ホシちゃんが大量のコインを持って襲いかかってきたり、三人で的当てをやったり、裏カジノで遊んだりした。
久しぶりに息抜きした感じだ。
「楽しかった~♪」
「そうだね~♪」
「満足したようでよかったよ」
現在、酒場で休憩中である。
マーメイドの歌声を聴きつつ、飲み物を飲んでリラックスである。
……もう、なんか、働きたくない。
「でも~アイリスお兄ちゃんもノーちゃんも酷いよ!私を除け者にしてさ!」
「あぅ~ご、ごめんね?」
「いいよね~ノーちゃんはアイリスお兄ちゃんに抱っこされて~う~ら~や~ま~し~い~胸か!胸が大きいからか!」
「きゃ!?ホシちゃんやめ、ひゃん!?」
「うっわ!?また成長してる!?うぐぐぐぐぐ……このこのこのぉ!!」
「やん、やめ、あ、んぁ……」
ホシちゃんはまあ見た目相応で、ノーちゃんはどこぞの赤い人みたいに三倍って感じだな。
一応男の俺がいるので、そういうスキンシップはやめてほしいんだが。
溜息を吐いてホシちゃんを後ろから抱えて肩車する。
「わわわ!?……たか~い♪」
「んん……あ、ありがとうございます、アイリスさん」
「気にするな。結構時間が経ったし、俺はこれから二十階層を創りに行くが、どうする?まだ遊んでいくか?」
俺がそう言うと、二人は考え込む。
小声で「まだ時間があるけど、アイリスお兄ちゃんが……」や「アイリスさんと一緒の方が……」と聞こえる。
嬉しいやら恥ずかしいやら、こんな時どんな顔をすればいいのか……
「笑えばいいと思うよ、アイリスお兄さん」
「……サラッと心を読んだろ?」
「ニャンのことか分からないニャ~♪」
ホシちゃんが俺の上でニャーニャー言い始めた。
可愛いのだが……こう、言いくるめられたみたいで悔しいな。
「あの、お邪魔でなければ、その、一緒に行っても良いですか?」
「あ!私も私も!」
「別にいいが、そんなに楽しいモノでもないと思うぞ?二十階層は遊ぶ場所を創るわけじゃないし。まあいいか」
そんなわけで、ホシちゃんノーちゃんが一緒に来ることになった。
まあ、二人から意見なんかもらえれば凄いのが出来そうだけど。
それじゃあ、転移っと。
◇◇◇
視点・一般兵
仲間と共に【怒鬼王の迷宮】から溢れてくるゴブリンやオークを槍で突き刺す。
俺はゴブリンの頭を突き刺したので一突きで殺せたが、右にいた奴がオークの肩を突き刺してしまい反撃を喰らって吹き飛ばされる。
「ぁ―――」
外れない槍から手を離し、剣を抜いて頭に向かって振り下ろす。
殺したのを確認し、吹き飛ばされた兵士を見る。
首や腕が曲がり、開き切った目がこちらを向いていた。
すぐに視線を逸らし、他の魔物を殺しに行く。
死なない為に、精一杯の抵抗を。
「嫌だ!?死にたくな―――」
左の奴がオーガに叩き潰される。
すぐに手に持っていた剣でオーガの首を突き刺そうとするが、オークを斬ったからかオーガの肌に触れた途端半ばほどで圧し折れる。
オーガと視線が合い、巨大な棍棒が振り上げられる。
あぁ、死んだな。
振り下ろされる棍棒に目を瞑ると、来ると思っていた衝撃が一切なかった。
恐る恐る目を開けると、黒髪の少年が立っていた。
その手に持っている剣も、身に纏っている鎧も自身が着けている物とは格が違うのがわかった。
「大丈夫ですか?あとは僕がやります」
「……お前は、なんだ?」
「僕は、異世界から来た勇者です!」
俺は思った。
え?何言ってんのコイツ?と。
「行くぞ、化け物共!!」
少年は魔物達の群れへと駆けていく。
数秒その姿を追ったが、気を取り直して周囲にある無事な武器を集める。
自称勇者の少年がどうなったかは知らないが、未だに迷宮から出てくる魔物の数は減らない。
これからどうすべきか考える。
このまま戦い続けるか、一度引くか、どこかへ逃げるか。
このまま戦っても勝てるかはわからない。
しかし、一度引いたとしてもそのまま攻め込まれたらおしまい。
逃げる?どこへ?
俺はこの国しか知らない。
余所へ行って生きる術があるわけじゃあない。
仲間が殺されていくのを無感情に見つめ、決めた。
「死にたくない」
逃げる。
生き残るには、それしかない。
戦場から背を向けて走ろうとした。
振り向いた先にゴブリンシーフがいた。
しかも何かの罠を置いていた。
いきなりのことで硬直してしまい、それが俺の運命を大きく変える。
ゴブリンシーフが置いた罠が発動し、俺の足元に魔方陣が現れる。
何とか逃げようと動いたが、ゴブリンシーフが横にズレるとその先にゴブリンアーチャーがいて矢を放ってきた。
ゴブリンシーフも動きつつナイフを投げてきていた。
矢が肩に、ナイフが腹に刺さる。
そして魔法陣が光が強くなり、景色が変わる。
景色を見る間も無く身体に力が入らず、倒れてしまう。
死にたくない、ただそれだけを考え手を伸ばす。
だが、その手が何かに触れることは無く、ゆっくりと落ちて行く。
地面に手が落ちると同時に少しの光を見て意識を失った。
気を失った彼は知らない。
彼が来た場所が、湖にあるダンジョンの入り口であることを。
気を失っている彼の前に一人の男が現れる。
「まだ生きてるのか……なら、サキュバス達の相手でもさせるか」
はたして彼は運が良いのか悪いのか。
とりあえず、死にはしないのだろう。
ノーちゃんの羞恥
アイリスさんに抱っこ……アイリスさんに抱っこ……アイリスさんに抱っこ……
あ、あぅ~……お、男の人とあんなに顔が近く……は、恥ずかしいです……
ホシちゃんはそういうの気にしてなさそうで、いっぱいくっついて……いいな。
うぅ……アイリスさんと顔を合わせるのが恥ずかしいよぉ……
……ホシちゃん?今笑った?今笑ったよね!?もぉぉぉぉぉ!!!