今日
「好き」
「そう」
何度目か知れない単語のやり取り。
僕は今日も元気に愛を誓います。
「いっつも思うんだけどさぁ」
ギシリ、彼女を押し倒すと軋むベッド。
もっと大きくてふかふかなのが欲しいなーなんて考えながらベッドに広がる髪の毛の先っぽの方を、くるくると指先で弄る。
「毎日毎日"好き"って言われて飽きない?」
何を言っても、何をしても、いつだって無反応。
仏頂面に見えなくも無い表情が常の彼女に、無意味だと解りながらも言ってみた。
別に、答えが欲しいわけではないのだけど、
「毎日毎日"好き"って言って飽きないの?」
質問を質問で返すのは良くない、良くないよ。
「飽きないよ。昨日は昨日、今日は今日だもの」
「どんどん君を"好き"になっていく、みたいな?」
「さぁ?昨日は君を好きだったし、今日は君が好き。明日は好きかも知れないし、そうじゃないかも。"好き"の大きさとかそんなものどうだって良くない?」
今、君を好きって事実さえあれば。
そう言って彼女の髪を掬いそれに唇を落す。
片手だけ動かしてるの、疲れるな。
「大きさなんてどうでも良いけど、」
「さっき言った通りだよ。君が欲しいのは、永遠?」
「……違う、確証よ」
「同じだよ」
ゆっくりと自分の唇を彼女のそれに近づける。
それは、拒まれる事無く――
「君は、僕のこと好き?」
「……貴方が、明日も私を好きなら」
昨日も、その前も聞いたその言葉。今日も聞いて、きっと明日も聞くんだろうなぁと思うその言葉。
ゴロン、彼女の上から退いてベッドに寝転がる。
ぎゅっと握られた手の温もりに安心して、ゆっくりと目を瞑った。
今日は、もう寝よう。
きっと何度もやってくる"今日"を迎える為に。
―END―