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-(3)

一目見て、好きだと思った。あなたのことを。





遥たちは雅の家の玄関にいた。

雅は有名な会社の社長令嬢だ。家も勿論豪邸である。

遥はそんな嘘みたいに巨大な屋敷を慣れた様子で見つめる。

もうここに来るのは何回目になるのだろうか。

雅とは、幼い頃からの付き合いである。

そう、初めて出会ったのは――


「どうしたの?遥。ボーッとしちゃって」

雅の心配そうな声に、遥はすぐに我に返る。


泣いていた、雅。


心配そうな顔と、当時の顔が重なって見える。


あぁ、そうか。


あの時からもう私は、囚われていたのかもしれない。


「大丈夫大丈夫。ちょっと暑くて目眩がしちゃってさ。貧血かな?」遥が安心させるように微笑むと、雅は花のような笑顔を浮かべた。そしてすぐ、慌てながら続ける。

「でも早く家に入って水とか飲んだ方がいいんじゃない?」

雅が玄関のチャイムを鳴らすと、すぐに

『はい』

と声がした。


ダメだ。

遥は思う。


ダメだ、いつも。


「奏志、あたし。遥も一緒。ちょっと貧血ぎみらしいから、水用意しといてくれる?」

『畏まりました。お帰りなさいませ、お嬢様』

「ただいま」


その声を聞くだけで、息が止まりそうになる。


行くよ、遥。

そう言うと雅は敷地の中へ入っていく。


―雅、ごめんなさい


いつも入って、後悔する。

でも、止まらない。


遥は雅の背中を追い敷地の中へ入っていった。

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