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-(2)

キーンコーンカーンコーン


授業の終了を告げるチャイムが鳴った。

遥は荷物をまとめると、何かに身構えるように辺りを見回した。

「あれ?来ない?」

「珍しいねぇ、修司さん。いつもなら跳んで迎えにくるのに」

いつのまにか雅が机の前で不思議そうに首を捻っている。

遥は雅にね、と相づちを打つと、でもまだ油断できない、と再び警戒する。

1分。

2分。

……。

「こ、来ないなんて今まであったっけ」

逆にコワイ。遥は怪訝そうに雅と廊下へ出た。


修司とは遥の義兄。遥とは母親が違うが血は繋がっている。

遥と雅は高2、修司は高3である。

いつもならチャイムと同時に教室のドアを開け、「遥、一緒に帰ろう!」と言うのが日常茶飯事。

……正真正銘、清々しいまでのシスコンである。


「なんかあったのかなぁ」

「心配することないって。今日はあたしの家に来てくれるんでしょ?後で連絡すればいいじゃんっ」

「うん、そうだね」

遥は釈然としないままだったが渋々靴を履き替え、外へ出た。


「あっつーい!」

「ほんとね。あっ、そういえば」

遥は眩しそうに目を細める雅をじっと見つめる。

「行かないの?今日でしょ?」

「ん?……あぁ」

あはっと笑い声をあげ、雅は面白くて堪らないといった様子で言葉を続ける。

「はは、行くわけないじゃん。あたしのことなーんにも知らないくせに。イライラするの」

「でも、橋本君は本気っぽかったよ。私もよく相談されたし」

「そんなに気になるんなら遥が断ってきてよ。あ、もしかして」

一端雅は言葉を切ると、遥を覗きこみながら優雅に笑う。

「好きになった?橋本君のこと」

覗きこまれた目は、全く笑っていなかった。

でも、ダメよ。

雅は笑う。

「遥は誰も好きになっちゃダメ。だって遥は、」

幾度と繰り返された呪縛。

いつか解き放たれる日など来るのだろうか――

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