【むかしばなし】
むかしむかし
あるところに。
おじいさんと
おばあさんがいました。
おじいさんは
山に芝刈りに
おばあさんは
川に洗濯にいきました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、川の梺から大きな桃がどんぶらこ~どんぶらこ~と流れてきました。
おばあさんはその桃を家に持って帰っておじいさんに見せようとしました。
しかし
おじいさんは山から戻って来ていなかったのでおじいさんの携帯に電話を掛けてみることにしました。
『はーい!もしんこ!もしんでございまーす!』…おじいさんは呑気にバカみたいな声で電話に出ました。
「ちょっと!ジイさん!ソッコー帰ってきて!ビビる果物発見したから!」
山から原付で帰ってきたおじいさんは玄関の扉を開けるなり大きな桃を見て大きな声で言いました。
『なにそれー!!!チョーうけんだけどー!!!』
「ヤバくない?!」
『めっちゃヤバい!!』
「どーする?」
『とりあえず写メ取るっしょ!』
「みんなに送る?」
『もちろん!』
おじいさんとおばあさんは大きな桃の写メを撮り、友達に一斉送信しました。
―数分後―
花咲じいさんからメールの返信がありました。
「まじビビったわwwwてか!その桃本物?!!(爆笑)」
続いて金太郎からメールがきました。
「なんだそりゃー!マサカリ落としたじゃねーか!」
さらに浦島太朗からもメールがきました。
「エエーー!!?その桃どうやって食べんの!?(笑)てか!もう!竜宮城とかどうでもイイわ!今からソッチ行っていい!?」
こんな感じで
おじいさんとおばあさんの家には続々とお客さんが参られました。
「いやー。こりゃあ。間違いなく新種だね。この桃世界初なんじゃね?おれメール見て思わず豆の木から落ちたもん。豆の木にしろ桃にしろビッグサイズが流行ってんのかな?」
…と、言ったのはジャックです。
「たしかにビビるよなー。おれらも合戦してる場合いじゃねーなと思ってソッコー来たし」
「そうそう。それにしてもスゲーなこの桃」
…と、言ったのはサルとカニです。
それを聞き
「おれの何倍あんだよ!」…と、ボケツッコミをかましたのは小さな小さな一寸法師。
かぐや姫と一休さんはそれを聞きクスクスと笑っています。
―その時―
ガラガラガラ!!!
玄関の扉を開けたのはガラスの靴を両方脱ぎ捨て息を荒げたシンデレラと、半分睡眠ウトウトモードでヨダレを垂らした眠りの森で全く眠らずやってきた白雪姫の2人でありそれを見て「…オマエラ慌てすぎ…」と、つぶやいたのは傘を被ったお地蔵さん。
「急いで来なくとも大丈夫。桃はわたしくの息でちゃんと冷やしておりますので腐れる事はございません。うふふふふ。」雪女が言いました。
「まぁ。いくら冷やしても僕は全く食べれませんが…」舌を切られた舌切りスズメ。
「ぼくもコレ以上は食べれません!!」「わたしも!!」
ヘンゼルとグレーテル。
みんな仲良しほのぼのパーティー。大いに盛り上がっておりますが、その頃、海の向こうの鬼ヶ島では鬼が数人集まって、なにやら作戦会議をしています。
1匹の鬼が言いました。
「オレラはどうして!毎回必ず悪者にされてしまうんだ!!!?」
となりの鬼が言いました。
「まったくもって!その通り!オレラが一体何をした!?鬼退治とは一体なんだ!?何故にオレラは退治をされなきゃならぬのか!?ハッキリした理由を言え!!と、みんなはそうは思わぬか!?なにかあれば鬼が悪者!鬼退治!オレラを倒せば、めでたし、めでたし…ふざけんな!!一体なにがめでたしなんだ!!人間共は、なぜにオレラを憎み続け、苦しみ続け、退治をし続けるのか!!もう1度言おう!ハッキリした理由をくれ!理由も分からず退治や成敗という正統的な言葉でオレラに理不尽な暴力行為をし続けるオマエラ人間共こそが、本当の悪ではないのでしょうかコノヤロォーーー!!!!」
鬼はそう叫び立ち上がり周りの鬼もそれと連動して雄叫びをあげました。
…数年後。犬、猿、キジを引き連れてこの島に乗り込んで来る男がこの日生まれたとも知らずに…。
めでたし。めでたし。