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6話「嵐の後」

「起きたか」


私は、居間の一角で目を覚ました。


上半身を起こして辺りを見渡す。

あの鏡と花の神様の姿はない。


「...夢?」


「夢に思えるか?」


あいも変わらず汚い部屋。

神棚があった部分も破損している。

背後から供珀さんの顔が覗いた。


「...あのお化けは?」


「神様、な。満足したから帰った。路頭に迷っていたんだろ信仰がなくて」


意味はよくわからなかった。私はただ、ぼうっと彼女の言葉を聞いていた。

信仰とは何なのか。

満足したってなんだろう。

そして、彼女の言った「祈れ」という言葉だけが浮かんでは消えていく。

朧気な頭では、あれが現実だったのかどうかもわからない。


でもただひとつ、はっきりと思い出す。


「供珀さん、傷は!?」


勢いよく振り返った私に、供珀さんは遠のいた。


「ん?ああ、まあ」


擦るお腹には、黄緑の物が染みている。それでも彼女は平気そうだった。


「傷もなおしてもらうから」


そう言って彼女は神棚の方を見た。


「あれを直すのが先」


どう見ても供珀さんの傷は軽いものじゃなかった。それでも神棚を優先する彼女の信心深さに私は変な笑いがこみ上げた。


「はは...。やっぱり供珀さん、人間じゃあないですね」


「いいや」


彼女から落ちた黄緑が、私を濡らす。

神様とは違って、それはとても暖かかった。


「わたしは人間」


供珀さんはそう言った。

どこかで聞いたセリフを言う彼女の口角は、幾分か上がっているように見えた。

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