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GOOD LUCK  作者: 阿寒湖まりも
第1楽章「黎明爆破」
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番外「表彰式って緊張するよね。」

この話は、『GOOD LUCK』の本編でカットされた内容です。


そこまで重要な話ではありませんが、

あのキャラやあのキャラの、

日常的な話を楽しむことができます。


是非ともご覧ください〜!

「はっ……はっ……はっ……はっ……」

『大丈夫か?』

「カシか。」

『やはり緊張しているようだな。』

「そりゃあそうだろ。これから表彰式なんだぜ?」


アズマシティのJEC本部が所有する公民館。

その舞台裏っていうか、そんな場所で、

俺はパイプ椅子に座っていた。


俺は先日、“芸術家”を自称する狂気の爆弾魔からアズマシティを守った功績を認められ、JECから表彰されることとなった。


俺は貧しい生まれだったから、

表彰されるのなんて、小学校の頃、

習字で金賞を取った時以来だった。


おかげさまで、めっちゃ緊張する。


「では、盛大な拍手でお迎え下さい。

 此度、アズマシティを凶悪な犯罪者から守った、

 勇敢な男、蝶野楽(ちょうのらく)さんです!」

『ワァァァァァァァァァ………!』


歓声と拍手の波が、勢いそのままにのしかかる。


怖い。

期待されるのが怖い。

人前にでるのが怖い。


不相応。不適合。不適格。

やはり俺には荷が重い。

やはり俺には釣り合わない。


俺は、称賛されるに足る人間か?

この功績は、カシが手を貸してくれたから。

(みなと)の指示に従ったから。

天馬正和(てんままさかず)さんが頼んでくれたから。

繁芸獏(しげきばく)が何故か身を引いたから。

そんな偶然によって作り上げられた虚構の功績。


俺一人の力で成し遂げたものではない。


(お前には無理だよ。)


うるさい。


(逃げよう。お前には似合わない。)


やめろ。


(だって君は…………)


……………俺は。


プレッシャーに心が折れそうになった時。

誰かが背中を押したような気がした。


『リードしてやろう。

 君は後ろばっか見ずに、前だけを見て進め。

 でなければ、俺の宿主に相応しくない。』


「…………ありがとよ。」


息を整え、壇上に立つ。

演台の前には、天馬正和(てんままさかず)が立っている。


「おめでとうございます。

 そして現当主・神輝也(かみてるや)様に代わり、

 アズマシティ支部長の私、天馬正和(てんままさかず)から

 お礼を述べさせていただきます。

 本当に、ありがとうございます。

 これからのご活躍を期待しています。」

「ありがとうございます。」


マナーに則り、慎重に感謝状を受け取る。

その時、天馬正和(てんままさかず)はボソッと呟いた。


「(そんなに不安そうな顔をするな。

 これは紛れもなく、誰が何と言おうと君の功績だ。

 もっと誇り、自分を褒め讃えなさい。

 君は、それに足ると断言できる人物なのだから。)」



(みみへん)



「「乾杯!」」


近所で一番安いファミレスで、

コーラが入ったグラスを手に祝杯を上げる。


2人席。相手はもちろん、友達(ダチ)一元湊(いちもとみなと)


「かっこよかったぞー。」

(みなと)ってどっから見てたの?」

「忙しくてな。デスクワークしながら

 テレビ中継を眺めてたよ。ごめんな。

 友人の晴れ姿を直接見られなくて。」

「いいよ。気にしてない。」

「代わりに、今日は好きなものを、

 好きな分だけ注文するといい。おごりだ。」

「ッッッッッしゃあ!!!

 じゃあピラフとオムライスと、ドリアと……」

「炭水化物だけじゃなく野菜も摂れ。」

「は?」

「は?」


⇐ Nice try !

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