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「ヒーローに自分を重ねてみたら」

とんでもないことになった

というのも、だ

冒頭にもある「ヒーローに自分を重ねて」という表現は

ヒーローという存在そのものに自分を投影させる

そう言った抽象的な意味合いを持つものだと

今の俺は思っている


ただ、当時の俺は違ってね


「ヒーローに自分を重ねて」という表現を

俺は概念でなく物理そのものと解釈してしまった

つまり、ヒーローに自分の身体そのものを重ねるのだと

そう思ってしまったんだ


だから俺は

...今でもこの時の俺の行動は愚かだったと思うが

実際にヒーローに会いに行ったことがある


そしてその時

俺はヒーローの身体と

自分の身体を

重ね合わせたんだ


「イメージが思いつかない」?

「身体を重ね合わせるって、具体的にどういうことか」?

そんなもんお前

お前さんに委ねるよ


俺がどんなことをしたかを表現すると

ただ、「ヒーローに自分を重ねた」

それだけだ


それでまぁ、ヒーロー側も困惑してたし

周りの聴衆(聴衆?まぁいいや)もどよめいてたが

まぁ、ここまでは

変な奴が奇行をかました、だけで済む話だ


だが問題だったのは

ヒーローと自分を重ねてしまったことによって

何ていうのかな、その、無理やり例えると

「融合」が発生してしまって


つまりヒーローと自分が「本当に」重なってしまったんだ

それも、「融合」という形によって


訳わかんないだろう?

俺もわかんないさ

俺もお前も、これが嘘だと信じたいことに変わりはない


だが、起きてしまったんだ

ヒーローに自分を重ねたことにより

ヒーローと自分が重なってしまった

融合を果たし

その結果

俺だけが残った


ここでさ

俺もヒーローとしてどうのこうのしましたとさって結末なら

英雄譚として体が良いんだろうけどさ


残念ながら

重なられたヒーローは身体も概念も消滅してしまい

純粋な俺だけしか残らなかった


だから重なられてしまったヒーローが

本来持っていた記憶とか能力とかその他諸々は

俺に何も引き継がれていない


つまりヒーローと俺が重なったことによって

俺が上書きされた訳だ


改めて思うよ


そこで上書きして残ったのが、俺の方なんだって


普通、ヒーローの方が残るかなと思うけどさ


あの時は、そうではなかった


つまり、いまはもう

あのヒーローは存在していない

俺が重ねてしまったことによって

ヒーローは肉体も心も全て

俺によって無いものとされてしまったんだ


今の俺は

あのヒーローのファンから死に物狂いで逃げながら

バナナ売りのバイトでかろうじて生きているよ


それにしても

ヒーローに自分を重ねるのを実行したら

とんでもない結果を招いちまうんだな


あと、勘違いで大きな行動を起こすことが

どれだけ甚大な影響を与えるのかも学んだよ

あの時の俺は浅はかで、愚かだった


ごめん

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