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プロローグ

 目が覚めたのは、病院のベッドの上だった。

 静かな病室の中には、ピッピッという無機質な医療機器の音だけが響いている。

 

 またか。


 またなのか。


 心の中に封印されていた、三年前「あの」記憶が強制的にフラッシュバックする。


 忌々しい、記憶。


 前と同じだ。幸せが、一瞬にして全て砕け散る。

 そして残るのは、残されるのは自分だけ。


 「シオンちゃん…」


 アリの足音より小さな呟きと見回りの看護師が部屋に入ってくるのは、ほぼ同時であった。

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