第3章 大学生の勉強方法を考える
(もう、全然寝れねぇ。)
森田は真っ暗でないと寝られない。なぜ部屋が明るいかというと、彼と同じ班である山口が宿題をしているからである。
(山口ってほんまに宿題してんか?)
森田は寝はじめる時から疑問に思っていた。別に山口は宿題をしない人では無いが、かといって修学旅行に持ってくるような人でも無いからだ。
(ん?山口、トイレ行ったな。調べてみよ。)
(ん?手紙?ん?)
『凛へ
簡単にいう。俺と付き合ってくれ。』
(汚ったない字やなぁ。)
「なにやってんだ!」
「ふふふ、山口。」
「ば、ばか!」
「あのさぁ、お前は…、松っちゃんを…、幸せに出来るか?」
「え?」
「あんさぁ、此れは俺の考え何やけど、人を好きになるっていうのはその人を幸せにしたいって事やと思うから。」
2日目は海に行って地域の水産業の説明を受けた後、古代遺跡に行って修学旅行は終わる。
バスの座席は1日目と同じであった。
水産業の話なんか誰も聞きたい訳が無い。昼食がとれたての魚を食べられるものでなければ一体どうなってた事か。
「これ何?」
「いや鯛やろ。」
「なんで分かんの?」
「いや分かるやん!お前鈍感か?」
「いや、なんで?」
「お前松っちゃんにも…」
「やめろやめろ!」
「なに山口?」
「入ってくんなよ、村上。」
「なあ森田。」
「ん?」
「告白は、修学旅行終わったらにするわ。」
「ふーん。」
「まあ、ねえ。」
遺跡はかなり有名な観光地で、遺跡も巨大だが、お土産売り場もかなり巨大である。
「え?こんな大っきい必要ある?」
「村上、馬鹿か。原寸大って奴だよ。」
「ん?ってことはここ、現物じゃねえの?」
「当たり前だろ、現物は埋めてんよ。」
「え!?そうなの?」
「ん?白崎さんも知らんかったん!?」
「知らなかった〜。」
(あんな宇宙の話は詳しいのに?)
(ったく、途中で何処も寄らないからトイレ行けって何!?SAかPAくらい寄れや!みんなトイレとか退屈やわ。お土産売り場行くか。)
(ったく、勾玉の売り場、レジの横かよ!分かってればすぐやったのに!んー、勉強運か恋愛運か、迷うなー!)
「んー?白ちゃん、クッキー?」
「うん、家族へねー。え?松っちゃん、多くない!?そんな買うの!?」
「うん、家族にもだけど、なんか山口がすっぽかしそうだから。」
「ふふふ。2人、なんか夫婦みた〜い。」
「そー?」
(俺は、白崎さんを好きなんやったら、幸せにしたいよなぁ。やったら、恋愛運のにしとくかー。)
帰りのバスは、退屈以外の何者でも無い。大体の人はすぐ寝る。
「ねえ森田君。」
「何、白崎さん。」
「お土産何買った?」
「ん?勾玉。」
「ふーん。何の?」
「恋愛運。」
「ふーん、森田君にもそういうのあるんだ。」
「そりゃあるよ。」
「いや森田君ってポーカーフェイスだから。」
(俺ってそんなポーカーフェイスか?まぁ良いか、これしまったら寝よ。)
バスを降りてから、森田は家までは山口と松原の3人で帰った。
「あんさあ、」
「ん?どうした、山口。」
「木曜の放課後さあ、紅葉見に行かない?」
「え?私はいいけど、悠矢君は?」
「おいおい、俺木曜は緑化委員会だよ。」
「あ、ごめん。じゃあ2人で行くか。」
(こいつ告白する気やな。俺は白崎さんに想い言うべきなんかなぁ。そういやぁバス降りる時、白崎さん、なんか悲しそうな目しとったなぁ。)
青村小学校には屋上がある。ここからは、この近隣が一望出来る。森田はここで、人を待っていた。
「何?」
「ん、白崎さん。なんで来たん?」
「いや森田君が呼んだんでしょ。」
「まぁ良いや、座って座って。それより、聞きたい事あんねんけどさぁ。」
「なに?」
「今村と付き合ってるってほんま?」
「あー、あれ。うん。本当だよ。」
「じゃあ一つ聞くで。」
「何?」
「罪悪感とかって……どう思うてる?」
「ん?何言ってんの?」
「そのさぁ、勾玉…、俺の盗ったやろ?」
「え?」
「バスで俺が寝とる時に。」
「な、何言ってんの!?」
「じゃあ何で無いん?」
「落としたからでしょ⁉︎いい加減にしてよ!」
「チャック閉めてても落ちる?勿論破れたりもして無いし。」
「とにかく!私は知らないから!」
「バスガイド。」
「え?」
「他の人が盗もうとしても、バスガイドに見つかるから出来へん。」
「……」
「別に俺は白崎さんにキレとるんちゃうねん。寧ろ逆。変に気とか使われたく無いから言うとるねんで?」
「……」
「勾玉がどれだけ効果があるんか知らんで。ただ、俺にとっては、白崎さんが幸せになるという事は嬉しいし。俺が捻くれ者やからか?曲解されて願いは届いたなぁ。」
「……」
「白崎さん、最近俺にだけ暗いし。」
(あーもう、白崎さん、涙出した。)
「ごめんね。」
「…」
「つい、その、魔が差して…」
「あーそう、じゃあ、俺は別に、
(ん?足音?此処に来る可能性がある奴というと…)
「ほんま何やお前は!」
「え⁉︎」
「ざけんなよ!」
「なに森田君⁉︎」
「なぁ!ほんま
(これ合ってんのか?)
「何やってんだ森田ー!翔子泣かしたんか!」
(やっぱ今村か。白崎さんがさっき「森田君に屋上で呼ばれた」って言ってたからなぁ。)
「お前、、翔子に何したー!」
(翔子とかその呼び方腹立つわー。)
「なあ!答えろよ!森田!」
(ちっ、首掴んできたし。)
「なあ!」
(どんだけ興奮しとんねん。隙大きいで。)
「ぐほっ…、くそ、みぞおちかよ。」
(あー良かった、勝てた。)
「何やねんな今村。」
(このまま帰るか。)
「森田君。」
(あーあ、殴られるなこりゃ。)
「ありがとね!」
「………は?」
「森田君のおかげでスッキリした!」
「…あ、そう。」
「へへ、この勾玉返すよ。」
「いや、もうええわ。もう役目果たしたし。」
「あれ?じゃあ言葉に甘えてもらって良い?」
「うん。」
(役目が何かとか無視かい!)
「森田君が私を殺したくなるくらいのカップルなるね!」
「まあ今村も悪い人ちゃうから。」
(また…)
「じゃあ俺帰るわ。今村もいつまでノビてるか分からんし。」
「じゃあねー!」
これがハッピーエンドかは分からない。だが、森田は幸せである。