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この世界には、人間と呼ばれる生物がいる。
人間は色を知覚することができる目がある。しかし、それは色の一部でしかない。
人間が見えている色は、脳が作り出しているものにすぎない。
通常人間には、赤外線や紫外線を見ることはできない。
もし、知覚できない生物が隣にいたとしたら、それが見えるようになったら、あなたはどうしますか?
赤黒い太陽が、地面に近い位置にあった。私の周りには、黒い人の形をした影のようなものが蠢いている。私はそれを影人と呼んだ。
「殺してくれ」
と、影人は涙を流しながら口々に告げる。
そして、影人は赤黒い太陽に向かって進み、赤黒い太陽に潰されるように飲み込まれた。
ことの発端は、私の目にガラスの破片らしきものが入ったことから始まった。だが、痛みはなく、しかし奇妙なものが見えるようになったのだ。
「誰アンタ?」
突然背後から声がかかる。
「見えてるんだろ?」
私は声のする方へ振り返る。