第6話
二人で缶を片手にホッと一息つきながら流れ行く人波を眺めること数分。
ミクルちゃんは、まろやかで優しいミルクティーに喉を潤した事によって、オレの見た感じじゃ本人もまろやかになってきた様に思う。
バトル第一フェイズでは怒涛の先制攻撃で優勢に駒を運んだが、まだまだ相手の戦力は未知数。どんな隠し兵器が飛び出すか分かったものじゃない。
まずは相手の性能を把握する事が先決だ。
さぁ、弛緩した空気を震わす第二フェイズの開幕だ!
「もう一息つけたか、ミクル?」
「うん、喉が柔らかくなった感じ。」
その言葉通り、ミクルちゃんの表情も、先程の撃墜寸前の時より、随分と柔らかくなった様に見える。
「良し、じゃあさっきの続きをするぞ?」
「う…うん…。」
コクリと頷くミクルちゃん。
その表情は、さっきと打って変わって、とても明るい。
よし、では、片瀬少尉! ”恋愛戦争”、第二フェイズ、第一射…発射‼
「まず、分からないのが当たり前とオレは言ったが、それはさっきの問いに対しての言葉じゃない。さっきの問い自体の答えはそれまでのオレの言葉の中に答えがちゃんと含まれていたんだ。オレはさっきこう言ったはずだ。『全ての情報を共有する存在など、二つに分ける必要がそもそも無い。そんなモノは一個の存在で事足りる』と。つまりだ、オレとミクルは別個の情報を持つ存在で有るが故に二つに分かたれているんだ。ここまでは良いか?」
即席の、オレの無茶苦茶な説明に、
「う…うん…何となく…。」
この娘、理解を示しましたよ、奥さんッ⁉
だが、それを、オレは、全面的に『良し』とする!