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ファンタジーは突然に 軽量版   作者: 皆木 亮
第1章
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第4話

「でも、お兄ちゃん、ミクルを『ちゃん』()けで呼ぶなんてどうしたの? いつもだったらミクルって呼び捨てで呼んでくれるのに…。」





 クッ…やはり来たか。


 どうやら彼女ワールドではオレはミクルちゃんを呼び捨てにするのが常道(じょうどう)(おきて)らしい。


 ミクルちゃんが、気遣(きづか)わしげで、それでいて猜疑(さいぎ)(はら)んだ(ひとみ)でオレを(うかが)って来る。





 彼女を許容(きょよう)(こう)(りゃく)対象(たいしょう)(さだ)めた矢先の相手からの威嚇(いかく)射撃(しゃげき)


 これからボロを出す(ごと)に彼女の攻めは激しくなり、その先には撃沈(げきちん)の運命が待っている。




 だが、この手の危ういタイトロープを(わた)るのに、一つのボロも出さずに攻略するのは不可能であろう。


 しかし…オレは()たして()べたで無慈悲(むじひ)絨毯(じゅうたん)爆撃(ばくげき)を受けるだけの敗残兵(はいざんへい)なのか?





 (いな)! オレは今、相手の(さら)風上(かざかみ)に立っている‼





「ああ…すまないミクル…。どうもオレは尖兵(せんぺい)(たち)にアルマティファンされた影響で大部分の記憶に障害が起きている(よう)だ。そのせいで、オマエとエンゲージする(ため)に必要なデュラキュティルが欠如(けつじょ)してしまっている。この分では明日にリゾナンスアクトに()えられるか分からない。しかし、こんな事に絶望はするな! ここでオマエが(あきら)めてしまえば、それこそ(やつ)らの(おも)(つぼ)だ! まずは、オレの失われたデュラキュティルを取り戻す(ため)にもミクルのデータが必要だ。ミクルのデータを視聴(しちょう)認識(にんしき)すれば、オレのラティアルドライブを(つう)じて、ブレインアラートが刺激(しげき)され、オレ(たち)は再びエンゲージを()たし、リゾナンスアクトに()えられるかもしれない!」





 常識的(じょうしきてき)攻防(こうぼう)(きそ)えるのは常識(じょうしき)範疇(はんちゅう)の相手だけだ。



 だが、この相手は『(ちが)う!』



 (ゆえ)に…こちらも初手(しょて)から常識(じょうしき)という汎用(はんよう)兵器(へいき)()てる!





 言ってしまえば、全くの新理論で作られた試作(しさく)兵器(へいき)を、性能テストを一切せず、いきなり実践(じっせん)投入(とうにゅう)して、暴発(ぼうはつ)の危険性を(かえり)みないで乱射する(よう)なものだ。



 正攻法(せいこうほう)では、どうあっても(しの)げないというのなら、自分でも結果が予測できない攻撃で対抗(たいこう)する!





 しかも、自分でも耳を(うたが)う不思議ワードの羅列(られつ)っぷりはともかく、ストレートにミクルちゃんのデータを聞き出す誘導(ゆうどう)尋問(じんもん)



 結果は予測できないが、ミサイルの指向性(しこうせい)はオレにも(あやつ)れる!





「え…ッ⁉ 何…ッ⁉ お兄ちゃんッ⁉ ミクルの知らない言葉ばっかりだよッ⁉ お兄ちゃんが何を言っているのか分からないよッ⁉」



 なるほど、初弾(しょだん)は、こういう効果が出たか。



 不思議(ふしぎ)単語(ワード)()りばめれば何でも会話を合わせて来るモノかとも思ったが、電波(でんぱ)体現(たいげん)した彼女ワールドでも一応(いちおう)は何らかの法則性(ほうそくせい)()った(よう)だ。



 ミクルちゃんは、オレの羅列した即席(そくせき)不思議(ふしぎ)単語(ワード)に、”彼女(かのじょ)世界(ワールドでの)法則(ほうそく)”での整合性(せいごうせい)が取れないと、(おどろ)きつつも、(さら)にオレへの猜疑(さいぎ)の目を強めていく。





 だが、オレは、この展開(てんかい)を全面的に『()し』とする‼



 フッ…ミクルちゃん…。君の(よう)常識(じょうしき)(はか)れない相手との一戦は始めてだが、オレも伊達(だて)に一〇七回もの失恋(しつれん)を経験してはいない!


 ”失恋(れんあい)回数(けいけんち)”から(みちび)き出された”恋愛(れんあい)体験度(レベル)”ではオレに()()る!





 さぁ! ずっとオレのターンの始まりだ‼

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