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ファンタジーは突然に 軽量版   作者: 皆木 亮
第1章
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第3話

 そんな益体(やくたい)も無い事を考えて、少しニヤけながら店内に入ろうとする、その瞬間に…。



「そっちはダメだよ。ホラ、こっち。」


 何だか分からない内に謎の人物に手を引っ張られて軌道(きどう)修正(しゅうせい)させられるオレ。


 中々の勢いで引っ張られ、あれよあれよと言う間にピエロさんの店からズンズン離れていく。





「ふぅ~~。ここまで来れば安心だね。」


 やっと牽引(けんいん)が終了した頃には、二筋(ふたすじ)ほど離れた場所に移動させられていた。


 呆然(ぼうぜん)としながら謎の行動をした相手を見やったオレは(さら)呆然(ぼうぜん)とする事となる。





 いや、相手がオレの既知(きち)の相手じゃなかったのは、まあ良いんだ。


 勢いで引っ張ったら人違いでした、なんて結構ある事だし。





 それよりもですね、この()、めちゃくちゃカワイイんですよ。


 なんていうの? 妖精(ようせい)って感じ? 中学(ちゅうがく)(はい)()てのチャイドル…みたいな?


 オレは()(かた)、中学生以下の少女にはトキメキ回路の動力が働かなかったノーマル仕様機(しようき)だったワケだけど…。



 これは…その…ヤラれちゃいました…。





 オーケー‼ 年齢(ねんれい)なんて国境は()えて進軍しちゃいましょう‼


 兵士は時に蛮勇(ばんゆう)を持って世界地図を変えちゃうモノです‼





「ねぇ、君は…、」


「良かった、お兄ちゃん、無事みたいだね。危ない所だったよね。あのままだと奴らの尖兵(せんぺい)がお兄ちゃんを()らえて、ネクロフィマティーの()てに邪神のスティグマを植え付けられて、ヨグソトースの門を開ける(ため)のミクルとお兄ちゃんのアルマを引き裂かれていたよ。」





 前言(ぜんげん)撤回(てっかい)


 君子(くんし)(あや)うきに近寄(ちかよ)らず。



 兵士は時に、勇気ある撤退(てったい)(おこ)なわなければいけません。


 見た目の戦闘力よりも(うち)から(あふ)()破壊力(はかいりょく)の方が危険ですよ、この()





「あ、いや、済まないけど人違(ひとちが)いだと思うよ。あ、そうそう、オレは、ちょっと拠所(よんどころ)()い用事で()ぐに行かなければいけない所があるんだ。いや、さっきのジャンクフード店に入ろうとしたのは、ついうっかりで、それを失念(しつねん)していただけで…あそこが行かないといけない場所なワケでも()くて、そういう事で時間が()いんだ。という事で、アデュ~~。」





 さっと()(はな)し、反転。


 そのままスタスタと早歩きで、その場から(はな)れ、数メートル進んだ地点で真横に(もう)ダッシュ!





 ガシッ‼


 ガシッ⁉ (つか)まれましたか、オレ? (つか)まれましたね、オレ!





 あまり見たくないが、オレの(うで)(つか)んだ人物を見る。


 はい、まごう事なくさっきの電波(でんぱ)ちゃんです!





 このロリポップな外見(がいけん)(はん)して結構(けっこう)(ちから)()るのは、さっき()()(まわ)された時点で分かっている。


 さて、どうやって()(ほど)いたものか…。





「ダメだよ、お兄ちゃん! ミクルを置いて何処(どこ)かに行っちゃ、益々(ますます)、奴らの謀略(ぼうりゃく)渦中(かちゅう)()まれるよ!」



 どうも、ミクルというのが、この()の名前であるらしい。


 さっきは、ぶっ飛んだセリフを()いてくれたお(かげ)で、ミクルというのも脳内(のうない)電波(でんぱ)ワールドの単語(たんご)の一つだと思っていたが…。





「いや、あのね…」


「ハッ⁉ お兄ちゃん! もう尖兵(せんぺい)(たち)にアルマティファンされちゃったのね! ううん…下手をすればガンダルヴァシヴティムかも⁉ これは(じょう)(かい)(ほどこ)さないとダメね!」


 こちらが説得(せっとく)(こころ)みるのを(さえぎ)(よう)怒涛(どとう)(ごと)く押し寄せる電波(でんぱ)





 ヤバイです! ヤバイですよ! 超級デンジャラスですよ、この方‼



 何とか(すき)(うかが)って(はな)れないと、どんな電波(でんぱ)理論(りろん)死地(しち)()()られるか分かったもんじゃありません!



 電波(でんぱ)なだけじゃなくて、もし『()んデレ』とかの属性(ぞくせい)も入っていたら、(ちょう)(きゅう)に危険です!





 そんな感じで脳がエマージェンシーコールをけたたましく()らしていると、左腕に(みょう)(やわ)らか感触(かんしょく)が発生する。



(じょう)(かい)(ほどこ)しているから、今日の間は、ミクルから(はな)れちゃダメだよ、お兄ちゃん。」


 その(じょう)(かい)なるモノが何かは分からんし分かろうとも思わないが…。


 この左腕に感じる感触(かんしょく)は、それを実践(じっせん)した結果らしく…。


 彼女のプチ(やわ)らかな胸が押し付けられているワケで…。





 ()いじゃん、(じょう)(かい)


 しかも、ミクルちゃんの(げん)だと、今日(きょう)一杯(いっぱい)この状況(じょうきょう)が続くらしいですよ、(おく)さん!





「どうかな? 少しは楽になってきたかな、お兄ちゃん?」


 心配そうにオレを見上げて来るミクルちゃん。


 つぶらな(ひとみ)()()ぐにオレを見つめる。


 しかも、さっきよりもギュッと、その胸をオレの左腕に押し当てております!





 これは……これは……これは………これはッ‼





 現実(げんじつ)時間(じかん)にして(じゅう)(びょう)(ほど)脳内(のうない)時間(じかん)にして()一時間(いちじかん)(ほど)(あいだ)()って行われたオレ脳内(のうない)サミットの結果、『これはアリ!』という条約(じょうやく)が、見事(みごと)満場一致(まんじょういっち)可決(かけつ)されました‼





「うん、ミクルちゃんのお陰で、少し楽になったよ。」


「良かった…ガンダルヴァシヴティムだったらミクルでも大変だったけど、やっぱりアルマティファンだったみたいだから、(なん)とかミクルのエナジーウェーブが浸透(しんとう)して行っているのね。この調子なら明日には(じょう)(かい)()いてもシンメトリカルがオーバーゲージに(たっ)してリゾナンスアクトにも()えられるわ。」


 エナジーウェーブだか何だかは良く分からないが、プチ(やわ)らかな感触がオレに浸透(しんとう)しているのは確かだ。


 できれば明日(あした)以降(いこう)浄解(じょうかい)しっぱなしで()()しいところです。

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