まずは謝罪
と、兎にも角にも何か言わなければっ!!
「わ、私は新谷さんのご主人様で、新谷さんは私のペットなのよっ!!」
「はいっ?」
や、やってしまったっ!!
ぺ、ぺぺぺぺぺペットって何よっ!? 私っ!
た、確かに今日は一日新谷さんの事をペットと思いながら過ごしていたのは事実であるのだが、それは実際に新谷さんの事をペットと思っているのではなくて、新谷さんをペットと思う事によって『新谷さんが勝手に出ていかないように』という願掛けのような、そして自分自身の束縛したいという欲望を見て見ぬふりをする程の良い言い訳でもあったというか、兎に角私は本当の意味でペットとは思っていないというのにっ!
わ、私のバカたれっ!!
とりあえず事態が深刻になる前に新谷さんにそれっぽい言い訳をしなければっ!!
「はい、俺は朝霧さんのペットです」
や、やめてぇっ!! 違うのっ!! 新谷さんっ! 違うのよっ! これには海よりも深いわけがありましてっ!! っというよりも、新谷さんが私のペットで良いのっ!? えへ、えへへ……。 そ、それって私の所にある意味で『永久就職します』という意味では? 意味ではっ!? そういう意味でいいですよねっ!? って、だから違うって私っ!! 落ち着けっ! 新谷さんはただ私に話を合わせて女子小学生の前で恥を欠かせないようにしているだけで、私のペットだと本気に思っているわけでも、私の元に永久就職したいと言っているわけでもないわっ!
まずは謝罪よっ!!
そして、私が今までの人生で一番テンパってしまっているその時、女子小学生達は目をキラッキラさせて私を見つめていた。
「ご、ごめんなさいっ! そんなつもりじゃ──」
「お姉さんすっごいっ!」
「すごいすごいっ! ペットだなんてっ!」
「こ、こんな関係があっただなんて……師匠と呼ばせてくださいっ!!」
だから違うのよっ! てかその目をやめなさいっ! そして師匠と呼ぶのもやめなさいっ!!
そう何回か女子小学生二人に言ってみたのだが、何故だか余計に女子小学生達の尊敬と憧れの感情が高まった気がするのは気のせいだろうか?
そして、私の説得も虚しく女子小学生達は手を振り「師匠っ! さようならっ! またいろいろ話を聞かせてくださいねっ!」と言いながら去っていく。
「……あの、違いますからね? 本当に新谷さんの事をペットと思っているわけではないですからね?」
「大丈夫です。 分かっていますから。 それに、あんなに必死になって女子小学生達に否定している朝霧さんをみたら誰だて俺のことをペットと思っていない事くらい伝わりますよ」




