懐かしい夢
しかしながら元嫁の、まるで『そこまで私の事を思ってくれているのねっ!』という表情に、違和感を感じていたのも事実であるのだが、先程の流れでどうしてそのような表情で俺の事を見れるのか全くもって理解ができない為、この時の俺は『激しいストレスで一時的に頭がおかしくなったのだろう』と思い、話を進めるのは今だと思い一気に話を進めていく。
その間も元嫁は今までの態度が嘘のようにしおらしくな李、しかしながら少しばかりの気持ち悪さとねっとりとした元嫁からの視線を感じながら話を進め、元嫁も間男同様に慰謝料や使い込みなどの支払いを認める公正証書、そして離婚届にサインをし、それを受け取る。
因みに義理実家からは早々に義理父から謝罪と共に誹謗中傷による慰謝料を支払う旨の承諾とサインは貰っている。
これで、やるべき事は全て終わった。
今感じるんのは凄まじい解放感と達成感、そしてほんの少しの罪悪感と優越感であった。
当初は、きっと優越感が凄いんだろうな、とか思っていたのだが、全てのゴタゴタやストレスからようやっと解放されるという解放感の方が圧倒的に強く感じている事に少しばかり驚いている。
そして間男嫁の方も、戦意喪失した間男から慰謝料と離婚届と養育費、そして何故か物分かりが良くなった元嫁からは慰謝料の支払いを命じる各種書類にサインを書かせることができ、今回の浮気騒動はこれで一件落着と、俺は思っていた。
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「……なんて懐かしい夢を……。 いや、むしろ今まで思い出さないようにしていたのが不思議なくらいだな」
一生忘れる事はないと思っていたあの辛い日々と、全てが終わった日の事を思い出した俺は思わず苦笑いをしてしまう。
他にこの後思い出さなければならない事があったような気がするのだが、今は無理に思い出すこともないだろう。
思い出せないという事は、まだ俺はそれに耐えられる精神状態ではないと、身体がそう判断して思い出す事にストップをかけているんだとも思うので、焦らず、ゆっくりでいいと、俺は思う。
そして、過去の事を思い出した事により、意外にも俺は以前よりも人が怖いと簡易無くなっているような気がする。
「今日は、スーパーでも行ってみるか……」
以前ならば朝霧さんがいなければ行こうとすら思わなかった近所の大型スーパーへと、俺は何の根拠もないのだが何故だか『今日は行けそうな気がする』と思えるのである。
例えるのらば、この感情は『中学生の時に自分が天才であると何故か思ってしまう』あの時の感情に似ている。




