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牛乳をこぼしてしまっただけで、


いきなり新谷さんが泣き始めたのを見てびっくりしたのだが、一度は死のうとした人である。


それなりの過去を背負っているのだろうし、情緒が不安定になってしまっている可能性だってある為『何が原因で泣いているのか』は深く追求する事はしなかった。


その点で言えば私の悪戯のお陰で会話の内容を強引に進路変更できたのは有難かった。


流石私と言えよう。


最早その叡智を利用して女子高生探偵を名乗れるかもしれない。


そんな事を思いながら新谷さんと一緒に朝ご飯を食べたのだが、久しぶりに誰かと一緒に食べる朝食はいつもと同じ味付けであるにも関わらず、そこはかとなく美味しく感じられた。


「マオっち、おはよーっ!って今日は私服で登校なんだね?色落ちとかするから余り私服は着たくないと頑なに学校指定の学生服を着ていたのに珍しい事もあるもんだね」

「べ、別に良いじゃないちーちゃん。私が何を着て当校しようと」


そんなこんなで朝の準備を終え登校するのだが、いつもの待ち合わせ場所である最寄り駅で待っていたクラスメイトの森嶋千秋ことちーちゃんに私服で登校している事を早速突っ込まれてしまう。


私の通っている城東高校は県内でも珍しく学生服及び私服、そのどちらかでの登校が許されている高校である。


しかしながら制服も今風で可愛く基本的には制服派が七割、私服派が二割、気分次第派が一割と言った感じであり、私は多数派の制服はでもあったのだが、何故だか新谷さんに制服姿を見られたくないと思った私は本日、私服での登校となった。


と言ってもお気に入りではなく、色落ちし始めた私服なのだが。


仕送りで生活している学生にとって服を買う資金も限られてくるため仕方ないと、そこは割り切っている私服派も多い為多少見栄えが悪くても浮く事は無い。


ただし『私服派であれば』がついてくるのは致し方ない。


「ふーん………男でも出来た?」

「へっ!?いや、ななななな、なーに言っちゃってるんだかこの子は、全く。あははははは」

「え、マジ?」


そして唐突にとんでもない爆弾を豪速球でぶん投げてくるちーちゃん。

私が大女優ばりの演技力が無ければ危なかったと言えよう。


「違うってっ!昨日ちょっと牛乳をこぼしてしまっただけで今クリーニング中ってだけだから、もうっ。変な事言わないでよ」

「………………………ま、良いでしょう。それで今日の現国の授業なんだけど────」


そんな私をちーちゃんは『怪しい』という二文字が書かれた表情で数秒見つめて来た後、どうでも良いやとばかりに今日の授業の話へと変わる。

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