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女子高生、サラリーマンを拾う  作者: Crosis


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楽しい思い出と相殺

 それでもやはりというか何というか、周囲の人混みが怖いらしく、新谷さんは私の腕にしがみつきながらしきながら店内を歩く。


 そして、ここまでくると私も気が付くのだが、新谷さんは常に周囲を警戒しており、人が怖いというよりかは、どちらかと言うと特定の誰かが怖いというように感じてしまう。


 もちろん、人も怖いのだろうが、そうなる原因を作ったのも人ならば、猶更その人物が怖いのであろう。

 

 例えば、新谷さんが自殺しようとさえ思ってしまった人物……とか。


 そこまで考えた所で私はかぶりをふり、この事は考えないように思考の外へと追いやる。


 今は私と新谷さんの時間なのだ。


 それが例え私の思考の中だとしても他の女性、それも新谷さんを傷つけた女性の事を考えたくない。


 せっかく新谷さんと二人で頑張って大型スーパまで来たのだから二人で楽しい時間を作りたい。


 それが例え私の脳内の中だったとしてもだ。


「新谷さん、今日の晩御飯は何にします」

「そ、そうですね……一緒に食材を見ながら、二人で一緒に決めましょうか」

「それイイですねっ!! そうしましょうっ!!」


 自分から話題(前の女性の話)を変えようと新谷さんに話を振ってみたは良いものの、そのやりとりがまるで新婚夫婦のようで、ニヤニヤするのを止められそうもない。


 今は新谷さんも食材を一緒に見ているから良いのだが、私の顔を見られてしまったら、私の新谷さんに対する気持ちがバレてしまうのではないかと思ったりと、好きな人と疑似夫婦体験しているというドキドキと、好きな人に自分の気持ちがバレてしまったらどうしようというドキドキでもう私の心臓が張り裂けてしまいそうだ。


「あ、お金は出しますね。 お金だけはありますから……」

「えっ!? い、いいですよ、そんなっ!?」

「いえ、俺にできる事と言えばそれぐらいですから。 それに、ATMには今月分しっかりと慰謝料が振り込まれているみたいなので、どうせならそのお金はお世話になっている人に使って記憶の上書きというか楽しい思い出と相殺したいという俺の我儘でもありすし、いつも貰ってばかりですと俺が朝霧さんへの申し訳なさで潰れてしまいそうというのもありますので」

「わ、わかりました……過去の事は未来の楽しいことへと私と一緒に変えて行きましょうっ!!」


 どう返事をして良いのか迷ったのだけれども『楽しい思い出と相殺したい』という言葉を聞いた瞬間、新谷さんにとって私と過ごす時間は『楽しい思い出』へとなる時間なのだという事が間接的に分かってしまい、嬉しさがじわじわと込み上げてくる。

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