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奇妙な同棲生活

「では契約成立という事で。私は朝霧真緒という者です。これからよろしくお願い致します」

「こちらこそ宜しくお願い致します。そして私は新谷博文という者です。宜しければ名刺もどうぞ」

「ご、ご丁寧にどうも……に、新谷さん」


そして私はサラリーマンを拾い、お互いに緊張からかぎくしゃくしながらも挨拶を済ませ、奇妙な同棲生活が始まるのであった。




朝、私は一睡もできなかった私は重たい瞼を擦り、無理やり覚醒する為にシャワーを浴びに行く。


なぜ、一睡も出来なかったのかって?察しろバカ。


私に魅力が無いからってことではない筈だ。


彼が草食男子だったのだ。


きっとそうである。


因みに新谷さんとはこれから私の今住んでいるこのアパートで一緒に住む事になった。


昨日新谷さんへ今住んでいるお住まいを確認したところ、既に解約しており帰る場所は無いのだという。


なんでも「飛び立つ鳥、後を濁さずって言いますしね」という彼の悲し気な表情が印象的であった。


そんな事を考えていると身体も洗い終えてしまう。


おかしい。


何故襲ってこないのか。


しかしまだ初日である。焦る事も無いだろう。


ピッチピチの女子高生と共同生活なのだ。


どこかしらで理性のタガが外れて襲ってくるまで待てばいいだけの話である。


そう思えば一気に気持ちが楽になり鼻歌交じりで朝ご飯とお弁当のおかずを作り始めているとすまほから通知音が聞こえて来たので覗くと『お母さん、おはよー。いやー、昨日は私のお母さんがウザくてウザくて。ちなみにあの後何かあったの?』という文章が書かれているマホに映る友達からの短い文章。


私が老けて見えたから襲われなかった、とかではない筈だ。


きっとそうである。


そう思いながらスーツのままソファーで眠る新谷の顔を見ると気持ちよさそうな表情で眠っているではないか。


わたしは一睡もできなかったというのにこの差たるや。


なんだかモヤモヤしてしまい無性に悪戯をしてやりたくなってきたので彼の前へと座る。


あ、まつ毛長い。


それに昨日は自分の事だけで一杯一杯だったけど良く見れば新谷の顔って意外と整っているかも………って、いけないいけないっ!彼を愛でる為に近寄ったのではなく悪戯をする為に近寄ったのだ。


目的を違えてはならないと、気持ちを切り替える。


「ふふ、いい気味だわ」


そして私はほんの少しスッキリとした気分で台所へと戻って行くのであった。


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