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女子高生、サラリーマンを拾う  作者: Crosis


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半分以上が朝霧さんのおかげ

「大丈夫っ、怖くないっ、大丈夫っ、朝霧さんがいるっ、大丈夫、大丈夫、大丈夫……」


 そして耳を澄ませば新谷さんがぶつぶつと念仏のように喋っているのが聞こえてくる。


「大丈夫だよ。 私がついていますから」

「ご、ごめん。 ありがとうっ」


 そう返してあげると新谷さんは少しだけ安心した表情をしながらも、私にしがみ付く力は気持ち強くなった。


 その光景は、まさに母親と子供であり、おかああさんがお母さんと呼ばれる所以でもあった。


 そんなこんなで目的の駅に着くまで新谷さんにしがみ付かれ、さらにバスの中でも何とか子供をあやすかの如く新谷さんを優しくフォローを入れながらどうにかこうにか当初の目的地である運動公園にまでついた。


 その間何度か「無理そうなら帰ろうか?」と聞いてみたのだが「い、いや、朝霧さんがいるから大丈夫」と言ってくれ、ここまでギブアップせずに来れた。


「飯谷さん、良く頑張りましたね」

「あ、ありがとう朝霧さんっ。 で、でも流石に疲れたからきて早々申し訳ないのだけれども横になっても良いかな?」

「そうですね。 では良さげな場所を見つけてシートを広げましょうか」


 しかしながら行きの道中で新谷さんは体力を全て使ったみたいで息も絶え絶え、横になって休憩したいと言うので一旦良さげな場所でシートを広げて休憩する事にする。


 そして私達は運動公園について十五分程歩きながら休憩に良さげな場所を探し、ちょうどいい感じに木陰になっている大木の近く、芝生の上へシートを広げて休憩をする。


「はい新谷さん。 お疲れ様でした。 これ麦茶です」

「あ、ありがとう。 ごめんね? 俺のせいで面倒臭いでしょう?」

「いえ、そんな事はありませんよ。 むしろ逆にこれはこれっで楽しくもありますので新谷さんが負い目を感じる必要なんかありませんよ」

「そ、それならば良かったです」


 そんなこんなであたり触りない言葉を数回交わした後、子供たちが芝生の上を駆け回る声や斜面を駆け上がったり、斜面の上にあるローラー型の長い滑り台で遊んでいる声を聞きながら、ゆったりとした時間を過ごす。


「これくらい広い空間で、ある程度人と人との距離が開けている場所なら大丈夫になってきたから、もしかしたら公共交通機関も大丈夫なのでは? と思っていたのだが、なかなかに厳しいものがあった……」

「でも、それでも新谷さんはここまで来る事ができたじゃないですか。 すごい進歩ですよ」

「でもそれは半分以上が朝霧さんのおかげですからね」

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