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女子高生、サラリーマンを拾う  作者: Crosis


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黙々とおにぎりを作っていく

 とりあえず外出の準備としてお弁当の製作に取り掛かる。


 これならば人が多くいるスーパーや飲食店を行かなくていいからである。


 また、お弁当を持って行けるからというのも、公園にした理由でもある。


「新谷さんはおにぎり作ってもらえますか? 私は玉子焼きとウインナーとかを焼きますね」

「わかりました。 ちなみに朝霧さんは何味が好きですか?」

「そうですね、私はワカメご飯が好きですね」

「おけ、じゃぁ半分はわかめご飯のふりかけにしておくわ」


 そんな感じで朝からお弁当を作る。


 ただそれだけなのだが、この時間がなんだかとても癒される、幸せだと感じてしまう。


 ヒステリックに金切声で『弁当なんて貧乏臭いものなんか食べたくなんかありませんっ!!』だとか『この私に手伝えって言うの? は? アンタが全部作れば?』なんて声が聞こえて来ない。


 こんな未来を俺はあの人と、と思ったんだけれどな。


 どこで間違えたんだか。


「どうしたんですか? 新谷さん」

「いや、何でもない。 少しだけ昔の事を思い出していただけですから」

「そ、そうですか。 無理だけはしないでくださいね」

「ええ、ありがとうございます」


 俺が前に進めそうだと思った時に、まるで足を引っ張るかの如く昔の記憶がフラッシュバックされる。


 せっかく穏やかな気持ちだったのに、それにせっかく一緒に外出してくれる朝霧さんにも失礼だと半ば無理矢理テンションを上げ直す。


「しかし、こうしてお弁当を作ると公園へ行くのが更に楽しみになって来ますね」

「そ、そうですよねっ! 新谷さんはここ最近特に頑張っていますし、絶対いけますってっ! 頑張りましょうっ!」


 そして俺は『こういう女性と結婚できていれば、毎日楽しかったのかな?』という気持ちを胸の奥にしまって、黙々とおにぎりを作っていくのであった。





 ど、どうすればいいのだろうか?


 男性経験など無く、もちろん男性とお付き合いなどした事がない私には今この状況をどう乗り越えれば良いのか全く分からない。


 いや、流石にこの状況は男性経験が豊富な女性でも対応するのは至難の業であり、むしろこれは心理カウンセラー等の資格を持っている人でないと難しいのではと思う。


 そのため私が今この状況をどう乗り越えて良いか分からないのは男性経験がないだとか、未だに男性とお付き合いをした事がないだとか、そういう問題では最早ないのだ。 きっとそうに違いない。


 そう思いながら私が横を向くと、私の腕にしがみ付きながら密着し、青い顔をして震えている新谷さんの姿があった。

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