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女子高生、サラリーマンを拾う  作者: Crosis


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どちらからとも無く笑い出す

「ご、ごめんなさいっ! 私自身もまさかあそこまでビックリしてしまうなんて、自分でも驚いています」

「そ、そうなんだ」

「そうです」

「…………」

「…………」


 そして俺達はどちらからとも無く笑い出す。


 初めのうちはこの、不意に訪れる沈黙が少しだけ苦手だったのだが、今ではこの沈黙すら悪くないと思えてくる。


「それで、私に何かようですか?」

「いえ、大したことではありませんが、コレ……。 近くのコンビニでプリン買ってきたので一緒に食べましょう。 朝霧さんから頂いてる恩からすれば微々たる物ですが……」


 そして、二人で笑いあった後、朝霧さんが俺へ何か聞きたそうな表情をし、口を開いては閉じているのが分かる。


 きっとこのプリンがどうしてここにあるのかを知りたいのだろう。


 本人は恐らく、その事を俺に悟られないようにしているのだろうけれども、端から見ればこれ程分かりやすいというのも中々無いだろう。


 その事からも朝霧さんが隠し事が出来ないタイプであると分かると同時に、今必死になって自分の感情や思考を表情が態度に出ないようにしている仕草が妙に可愛く思えて来るのだから不思議である。


 それと同時に、今思えば元妻は自分の感情や思考を隠すのが上手かった事を思い出してしまい、トラウマが発症する前にすぐさま思考の奥深くへと追いやり、閉じ込め、鍵をかける。


 そんな朝霧さんをいつまでも見てみたいという欲求が芽生え始めるのだが、流石に可哀そうだという感情と、良くしてもらっている相手に対して不親切では? と罪悪感を感じはじめ、それを誤魔化すように俺は今日文字通り死ぬような思いで買ってきたプリンを朝霧さんへ差し出し、その勢いで種を明かす事にする。


「小説」

「うぇ……っ!? しょ、小説?」

「ああ。 小説。 といってもそんな大層なものじゃ無いけどね。 お恥ずかしいは無しなのですが昔学生時代ラノベ作家を目指してたんですよ。 その夢の為に利用していたウェブ小説のアカウントがまだ残っていたからそれに久しぶりにログインしてね、それの広告料で稼いだお金で買ったんだ」

「へ、へぇー……す、凄い」


 そして朝霧さんの表情は『読んでみたいっ!!』と『けど、流石に失礼な気もする……』とコロコロと変化していくのが見え、なんだか微笑ましく思う。


「まぁ、流石に俺の黒歴史やポエムみたいなものだから、アカウント名は秘密なんですけどね」

「えぇーっ! そこまで言ったら読ませて下さいよっ!」

「いや、流石に恥ずかからっ」

「良いじゃないですかっ! 減るもんじゃないっしっ!? きゃぁっ!?」

「うわっとっ!?」

 


 

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