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女子高生、サラリーマンを拾う  作者: Crosis


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口元がニヤけてしまう

「分かった」


 そして新谷さんは私の指示に従い、折り畳み式のテーブルをセットしてお箸やコップ、お茶等をセットしていく。


 私は、お皿に水に浸して水気を切ったキャベツを敷き、空いたスペースに豚バラ肉で作った生姜焼きを敷き詰めて行く。


 正直言って私がやった料理っぽい事と言えば炒めた事くらいであるのだが、それでも失敗していないか?新谷さんの口に合うのか?等不安は尽きない。


「なんだか居候の分際で申し訳ないな」

「もう、それは言わない約束でしょっ!! ほら、冷めない内に食べてしまいましょう」


 この、なんでもない会話が、無性に愛おしく感じてくる。


 いや、むしろなんでもない会話だからこそ、愛おしいのだ。


「それでは、頂きます」

「はい、どうぞ」


 表面上では普段通りの自分を演じているのだが、内心は緊張で心臓はバクバクである。


 はっきり言って気が気じゃない。


 あっ、食べるっ!


「…………」

「…………そんなに見つめられたら食べ難いんだが?」

「ご、ごめんなさいっ! そう言われてみればそうよねっ、食べ難いよねっ」


 あぁ、やってしまった。気になって仕方がないのは分かるけれども、流石に人が食べている所を凝視するのは流石にはしたないと思われなかっただろうか?


「そんな表情をするなよ。 俺の反応が気になっているんだろ?」

「う、うん」


 そして、食べようとしている所を凝視してしまったら流石に私が新谷さんの、料理に対する反応が気になっていることはバレバレであったみたいである。


 当たり前だ。


 そんな私に新谷さんは一度優しく頭を撫でてくれ、そして一口、生姜焼きを口に入れ、ついでご飯を口に入れる。


「うん、すごく美味しいぞ。何をそんなに不安がるか分からない程には」

「よ、良かったぁーっ」


 そして、新谷さんが私の作った生姜焼きを食べて、美味しいと言ってくれた瞬間、私は安心感と幸福感に包まれ、緊張感から解き放たれる。


「ほら、俺が言うのも変だがこの生姜焼き美味しいから冷める前に朝霧さんんも早く食べてみれば?」

「そ、それもそうですね……えへえへ」


 あぁダメだ。


 口元がニヤけてしまうのを我慢できない。


「んっ、本当ですねっ! この生姜焼き美味しいですっ!! 自画自賛になっちゃいますが今まで食べてきた生姜焼きの中でも一番ですっ!!」

「そうだろう? 俺もそう思う」


 これはきっと、新谷さんの事を思い、新谷さんと一緒に食べた生姜焼きだからこそ、美味しいのだ。


 そして、それが私だけでなく、新谷さんも同じだといいなと、そう思うんであった。

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