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女子高生、サラリーマンを拾う  作者: Crosis


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クマさん

ブックマークありがとうございますっ!

いや、洗濯はだめであろうっ!!それに今は既に夕暮れ時である。


今洗濯して干したら生乾き特有の嫌な臭いがする為また洗濯しなければならず、結局二度手間となってしまう。


それになにより私の下着も当然『洗濯物』の中に含まれているのだ。


「へ?あっ!!ダメダメダメダメダメッ!!」

「こう見えても一人暮らしはそれなりに経験してきたつもりですから洗濯くらいできますよっ!!任せてくださいっ!!」

「っていうかもう日も落ちて来てるから今から洗濯しても外で干せないからっ!!そもそもそういう問題じゃなくてですねっ!!」


しかしながら今までは私に負い目や恩と言ったものを感じているのか控えめである新谷さんであるのだが、この時ばかりは一向に引こうとせず食い下がり、ついには洗濯機横の籠に貯めていた洗濯物に手を伸ばして掴み上げるではいか。


おそらく只飯喰らいという現状と先ほどの負い目やら恩やらが今までとは逆に働いてしまい『何かやらなければ』という気持ちにさせてしまったのだろう。


その気持ちは有難いのだが、もう少し私を異性として扱ってくれてもいいのではないか?という気持ちが沸いてくる。


結局のところ異性と感じていないからこそ洗濯物=下着という思考まで至らないのだ。


そんな事を思っていると見慣れた柄の布が一枚、はらりと新谷の手から落ちるではないか。


しかもあのクマさんがプリントされた柄は私の記憶では、よりにもよって履き心地が良いからと中学時代から履いているモノではないか。


「なんだ?お洒落なハンカチ………………」

「ハンカチじゃなくて私のパンツですっ!!悪かったですねっ!!大人っぽいパンツじゃなくてっ!!だから言ったじゃないですかっ!!新谷さんは洗濯禁止ですっ!!」

「す、すみませんでしたぁぁああっ!!」


その後、新谷さんを土下座させたまま半刻程に渡って説教と言う名の照れ隠しをし、許してやることにした。


その決め手はやはりワンポイントクマさん柄を第一印象で『子供っぽい』ではなく『お洒落』と表現した事が大きい。


これがパンツではなく本当にハンカチであったのならば、ともすれば友情が産まれたのかもしれないと思うのであった。





新谷さんが辞表を出し、残った有給を消化し始めてから早三日が経った。


私にとって新谷さんはただの上司ではない為毎日が気が気ではない。


「苦しい時くらい頼ってくれても良いじゃないですか………」


誰も座っていないデスクを眺めてそう呟く。

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