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プロローグ

「お母さんバイバーイっ!」

「バイバイお母さんっ!また明日ねっ」

「うん、みんなバイバイ、また明日っ」


満面の笑顔で、しかし別れの寂しさも見せつつ手を振ってくれる友達(・・)二人に別れの挨拶を同じく手を振りながら返す。


「お母さんか………」


別に、私こと朝霧真緒は彼女達のお母さんではない。


同い年で同学年の高校二年生なのだ。当たり前である。


しかしながら私の高校でのニックネームは『お母さん』であった。


誹謗中傷ではない事は彼女達を見れば、寧ろ親しみを込めて呼んでくれてる事は理解できるし感じ取れる。


友達である彼女達に以前何故私のニックネームが『お母さん』であるのか聞いた事があるのだが『大人びて見えるから』『母性を感じるから』『理想のお母さんをあげるとすればお母さんみたいなお母さんかなって思ったから』等と返って来た。


だからお母さんなのだそうだ。


お母さんと呼ばれて嫌ではないのだが、どうせならもっと女子高生っぽいニックネームの方が良かったと思わないわけではない。


そんな事を思いながらスーパーで買い物してから家へと帰り着く。


家と言っても2LDKのアパートの一室であるのだが一国一城の主人には違いない。


「ただいまー」


返事がない事くらいは流石に理解しているものの、扉を開けて静まり返った部屋特有の空気がどうしても苦手でいつも『ただいま』だけは言う様にしている。


この一人暮らしの生活も、もう三か月となり流石に慣れて来たのだが、一人暮らしにより家事力が上がっていけば行く程周りの皆からはお母さんパワーが上がって来ていると言われてしまう。意味わからん。


普通は家事力に比例して女子力が上がるものじゃないのか?解せぬ。


因みに何故私だけ一人暮らしなのかというと、父が昇進すると同時に母の実家がある県へ転勤が条件であった為、だったら昇進して転勤ついでに母の地元で根を下ろそうかという事で両親と妹は母の地元へ、私は昔馴染みの友達もいる高校を転校したくなかったという理由と今私が住んでる社宅が後二年間分契約している為勿体無いよねという事で会社にも了承を経て私だけ一人暮らしが始まったのである。


その為両親は普通に健在である。


父は初め私の安否を心配して断固反対であったのだが、ただでさえ母には弱い父はアッサリと母の『真緒も年頃なのだからしつこいお父さんは嫌われてるわよ。どうせ後二年したら県外に進学か就職する可能性だってあるのだからそれが二年早まっただけですよ』という言葉で一刀両断され後ろ髪を引かれまくりながらも私の父は新天地へと向かって行った。


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