1
目が覚めると視界いっぱいに広がるのは綺麗な顔をした女の人。
目に沢山の涙を浮かべ心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫?! 頭痛くない?!」
そう声をかけられて初めて自分の頭がズキズキと痛いのが分かる。
ただ、なぜ知らない女の人に心配されているのか、そしてここはどこなのかは分からない。
「璃唯奈が転んだ時、ママどうにかなりそうだったわ!」
……りいな? まま?
ぜんっぜん理解が出来ないんだけど。
そう思いながらズキズキと痛む頭に手を置いてみる。
結構痛いが,ちゃんと処置してくれたのかそこまで腫れてはいない。
手を元の位置に戻そうとすると手に何かが引っかかるような感じがした。
金……色?
手を見てみると綺麗な金色の髪の毛が絡まっていた。
さっきはこの感覚は無かったのだ。
つまりこの髪の毛は自分の頭を触ったときに付いたわけで……。
恐る恐る自分の髪の毛を見てみるとやはり綺麗な金髪だった。
「璃唯奈? どうかしたの? ……まさかどこか悪いとこでもっ!」
女の人はそう言うなり部屋を出ていこうとする。
なんか大事になりそうな気がする。
今は話を合わせておくのが賢明だろう。
「ううん! 全然大丈夫だから! でも今は一人で休みたいから一人にしてほしいの……。」
私の言葉を聞き少し眉を顰めながらも
「そう……? 分かったわ。」
そう言って部屋から出ていった。