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【詩集】Shangri-La

青い沼に沈めた夢

作者: 野鶴善明


 霧が流れる

 ひそやかな森の奥深く

 誰も訪れない青い沼

 音のない青い沼

 時のとまった青い沼


 深い眠りについた倒木が

 青く透きとおる底に佇む

 小鳥が水面をかすめて飛ぶ

 埋められない時がゆらぐ


 遠いあの日

 宝石箱に夢を入れて

 沼の底へ沈めた

 すぐに戻ってくるつもりだった

 ほんとうにそのはずだった


 なによりも

 大切にしていた夢だったから

 だれにも

 傷つけられたくない夢だから

 そっと隠しておきたかった

 ずいぶん待たせてしまったけど


 舟を浮かべる

 青い沼に竿をさす

 ささやかな波が広がる

 透きとおる底に眠る夢は

 今でも僕を

 覚えていてくれるだろうか


 沈めたのは

 ちょうどこのあたりだった

 宝石箱を開ければ

 僕はあの日へ戻る

 終わらない風の日々が

 もういちど始まる


 沼へ飛び込む

 冷たい水が

 なまっていた

 心を引き締める

 昔から沼に住む青い魚が

 あの場所へ僕を導く

 待っていてくれたんだね


 夢と生きたい

 夢と歩みたい

 夢を連れて

 七つの山を越え

 人生の七つの海を

 航海してみたい

 たとえつらいことばかりに

 なったとしても

 夢と暮らすことを

 僕は決して悔やまないだろう



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― 新着の感想 ―
[一言] 倒木さえ透きとおってみえる青い沼とは何を現わしているのかを考えてみました。 思い当たることはあります。 再びそこを訪れる思いを、竿をさす波で表現されたのには心惹かれました。七つの山を越え…
[一言] 良かったです。深く心に根ざした夢は忘れようと思っても忘れられないものだと思いますね。 七つの山と七つの海、というのが何かの暗示のようで意味深に思えます。
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