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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
十二章

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99話 回想2:申し出

「駄目ですね」

 仲間の所に戻ってきたカズヤは、報告を前にそう言った。

「こっちも潰れてました。

 化け物まみれですよ」

 その場にいた誰もがため息を吐いた。

 誰もが予想したとおりであったが、だからこそ落胆も大きい。

「これで幾つだ?」

「さあ」

 ホワイトボードにはった地図に印を入れたものが投げやりに答える。

「もう面倒だ」

 地図のあちこちについた印を見て呆れている。

 その印の数だけ襲撃された場所があり、いずれも封印派に関係のある場所だった。

 既に化け物に乗っ取られている。

 ヨドミになってるわけではないが、いずれそうなるだろうと思えた。

 ここ最近、こういう場所が増えている。



 封印派が襲撃されてるという情報を得てから、カズヤ達もそれに注視し始めていった。

 何が起こってるのか分からないが、とりあえず関連する場所を見て回る事にもした。

 それで目にしたのが、こういった状況だった。

 全てがそうだとは限らないが、大半が化け物の巣になっている。

 見つけたら即座に片付けていってるが、それよりも拡大する速度の方が上だった。

 封印派内でも問題になっるらしく、対処のために各地から人が集められてるという情報も入ってきた。

 しかし、相手が強すぎるのか、全く歯が立たないという。

 その為最近では様子見という名の放置になってる。

 被害が拡大するのを指をくわえて見てるだけで、被害がこの近隣に留まる限りは何もしないという事にしてるという。

 もちろん何もしてないわけではない。

 現在、更に多くの地域から人を集めており、周囲を固めてるという。

 時期を見て一気に押し寄せ、解決をはかるつもりだという。

 とはいえ、既に結構な犠牲者を出し、それでいて何も解決してないという事実が足を引っ張っている。

 周りの者達も、対応には消極的で、なかなか人が集まらないらしい。

 勝ち目が見えないのだから仕方ないが、おかげで包囲すらろくろく出来てないのだとか。

 いくら化け物に対抗できる能力を持っていても、それが義務というわけではない。

 つきつめれば、善意による協力でしかないのだから、無理強いする事も出来ない。

 特に大半が、普段はごく普通の生活を送ってる者達である。

 危険を承知で飛び込んでいく事を求めるわけにもいかないし、そこまでの義務感を各自に求めるわけにもいかない。

 そういう者もいるが、数は少ない。

 今はそういった者達が集まってきて、最低限の包囲網を作ってる所だった。



 封印派のていたらくについてはカズヤ達も呆れるしかなかった。

 仮にも化け物相手にしてるのに、そこまで腰が引けてるのはどうなのだと思った。

 それだけ相手が強いのだろうが、それにしたってもう少しどうにかしてもらいたかった。

 潰された場所にいる化け物だって、カズヤ達が対峙してるくらいである。

 封印派の方にも、それくらいは自分で片付けろと伝えてるのだが、誰もが及び腰になっている。

 よほど相手が怖いのだろう。

 気持ちは分かるが、だったらなぜ化け物退治をしてるのかと言いたかった。

 何人かは実際に言ったのだが、答えは気まずい沈黙だったという。

 彼等も自分達のとってる行動に忸怩たるものがあるのだろう。



「そんでさ」

 皆が集まってる所で、一人が口を開いた。

「連中が、話しがあるって言ってきてるんだけど」

「話し?」

「何をいったい?」

「それがなあ……」

 言い出した男は、大きく息を吐いてから続けた。

「化け物どもについてなんだってよ」

「どういう事だ?」

「あれの処理を俺達に頼めないかって」

 一同、何を言ってるのか理解出来なかった。

 理解出来たらそれはそれで絶句する事になった。

 彼等は等しく同じ事を考えた。

 ────いったい何をいってるんだ?



「俺も何言ってるんだって思ったんだけどな」

 話しを持ってきた男は説明を続ける。

「どうも連中、自分らで対処できなくなってるらしくてな。

 それで、俺らにどうにかしてくれないかって思ってるようなんだわ」

「はあ?」

「嘘だろ」

「俺も嘘だと思ったんだけどな」

 嘘でもなんでもなく、事実だった。

 接触をもってる封印派の者からそう言われたのが最初だったという。

 てっきり、そいつ個人の考えなのかと思ったのだが。

 そうではなく、同じような考えが封印派の中でも結構出て来てるという。

 もともと、能力の高い者が揃ってるのが崩壊派である。

 ならば、今回の一件、彼等にどうにか頼めないか、という事が話し合われてるという。

「それも下っ端とかだけじゃなく、幹部の方でもそういう考えの奴はいるらしい」

「まさか……」

「そう思うよな?

 俺だって信じられなかったよ。

 けどよ、実際打診があったんだ」

 言いながら封筒を取り出す。

「手紙を預かってる」

 提示されたそれを、皆は呆然と見つめていく。

 驚きや呆れを通り越し、困惑と混乱がもたらされてきた。

 ただ、それが冗談でも何でもなく、本気でそう考えているのだろうという事は伝わってきた。

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