↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/164

91話 回想2:脱出

 最後尾にいた者が放った手榴弾が、ノボルとカズヤ達の間に落ちる。

 爆発がすぐに起こり、爆風と破片が前後に伸びていく。

 幾分余裕があるとはいえ閉鎖されてる空間である。

 そこでの爆発は、屋外より大きな衝撃を与えていった。

「うわっ」

 負傷はしないが、爆発音と衝撃は防げない。

 それが続けて二度三度とやってくる。

 自分達に被害が及ばないと分かっての事なのだろうが、最後尾にいる者は度胸が良い。

 そこで生じたわずかな隙を敵は見逃さなかった。

 後ろを振り向いたノボルを手にした銃で撃っていく。

 AK47と思われる銃を構えて連射で撃ってくる。

 それらはカズヤの手前でまたもや弾かれたが、構わず射撃を続けた。

 弾丸を撃ち尽くせばすぐに次の弾倉に交換し、再び射撃をはじめる。

 それらは障壁に遮られてはじけ飛ぶのだが、加えられた攻撃が無駄という事もない。

 効果時間が切れれば障壁は消滅する。

 新たに張り直すにしても、時間差は生じる。

 その瞬間に相手の損傷を負わせられればそれで良い。

 当たり所にもよるが、銃弾を受ければ身体の機能は破壊される。

 死に至る場所でなくても、命中した場所は使いものにならなくなる可能性は高い。

 相手の戦闘力を奪うならそれで十分だった。

「手榴弾、使っていけ!」

 指示も出していく。

 先頭に立ってる者達は聞いてる余裕もないだろうが構わない。

 誰か一人でもそれを聞いて行動をしていってくれれば良い。

 それで事足りる。

 相手を倒せなくても、動きを止められれば良い。

 彼等の目的は、相手を確かに倒す事ではあったが、直接手を下す必要はない。

 足を止めている事が出来ればいずれ崩壊に巻き込まれる。

 彼等の狙いはそこだった。



「くそ」

 さすがにまずい状況だと思った。

 攻撃を防いでる気力の壁を何度か張り続け、効果が切れた時に備えていく。

 しかし、銃弾だけでなく手榴弾の爆発までは防ぎきれない。

 怪我や傷を負うような事は無いが、動きが制限される。

 それに、後ろにいるカズヤとマキが進めない。

 二人は攻撃を防ぐ手段を持ってない。

 敵と接触するノボルは切り込んでいくのに必要だから身につけていた。

 なのだが、後方に位置する事の多いマキはそれほどそちらを身につけてるわけではない。

 カズヤは成長途中でそちらにまで手が回ってない。

 ノボルの方でこの場をどうにか切り抜けねばならなかった。

(マキがやってくれればいいけど)

 ノボルが切り込んで敵の陣形を崩していく。

 それからマキが後ろから気力による攻撃で敵を一掃する。

 彼等が確立してきた戦闘方式は基本的にこれだった。

 他に手を回してない分だけ、気力によるマキの攻撃はかなりの威力にまで高まっている。

 それが出来れば敵を一掃することも難しくはない。

 問題はそれまでの時間を稼げるかだった。

 間断なく続く攻撃はマキに攻撃をさせる余裕を与えないだろう。

 気力の放出までのさほど時間がかかるわけではないが、途切れる事の無い銃撃の前に身をさらすわけにもいかない。

 少々きついが、ノボルの方でどうにかせねばならなかった。

(しゃあねえか)

 まずは相手が持ってる銃を狙っていく。

 気力を刀にこめて連射してくる軍用小銃を切っていく。

 驚くほど呆気なく刃が通っていく。

 真っ二つに切り裂かれた銃は、内部にある部品をまき散らしながら落ちていった。

 続けて二度三度。

 先頭にいた者達の銃が床に落ちていく。

 持っていた腕ごと切り落とされた者もいた。

 それでもまだ動ける者達は拳銃を取り出して攻撃を続けようとする。

 なのだが、味方の中に食い込んでいるために射撃が出来ない。

 流れ弾が味方に当たる可能性が高まってしまった。

 手榴弾も同様の理由で使えない。

 接近専用のマシェットやナイフを取り出すも、格段に差のあるノボルにかなうわけもない。

 ノボルの刀が次々に銃と敵を切っていく。

 十人余りの人数がいたはずの集団は、既に半分以上が戦闘力を喪失していた。

 それでも集団の最後尾にいて指揮を執っていた者は攻撃を続行させる。

「手榴弾を使え。

 向こうの角に隠れてるのを狙え!」

 捨て身であるが有効な手段であった。

 ノボルは確かに攻撃しても無駄に終わるが、その向こうにいるカズヤ達を狙えばそれなりの損顔を与えられる。

 そこまで頭が回っていたわけではないが、攻撃しても意味が無いノボルを見て目標を変更するだけの機知はあった。

 それも相手がノボルのような防御手段を持ってれば無駄に終わるが、そこまでは考えていない。

 意味があればいいな、という程度であった。

 言われた通りに手榴弾が投げ込まれる。

 角の方まで転がっていったそれらは、次々と爆発していった。



「……てめえら!」

 ノボルが一気に爆発した。

 手近にいる者に接近して斬りつけ、斬った直後に他の敵との間合いをつめる。

 身体能力の強化に回した気力が常人ではとらえきれない動きをもたらしていく。

 それを見て最後尾にいた敵は味方に当たる事を躊躇わずに銃を撃つ。

 既に大半の仲間が事切れており、誤射を気にする必要がなくなっていた。

 躊躇っていれば自分も確実にやられる。

 残り少ない手榴弾も遠慮無く使う。

 倒れた仲間が吹き飛ぶだろうが、既に事切れてる者を省みてられない。

 銃で牽制しつつ手榴弾を放つ。

 しかしノボルの動きは男が予想するより速く、投げた手榴弾と入れ違うように前に出て来る。

 男の放った地点で手榴弾は狙い通りに爆発するが、その時にはノボルは目と鼻の先にまで到達していた。

 刀の間合いに入った事を感じつつ引き金を引く。

 助からないまでも少しは反撃をしたかった。

 だが、弾丸を撃ち尽くしていた銃からは何も出てこない。

 まずいと思う間もなく、男はノボルに切り捨てられた。



 敵が全て片付いたところでノボルは後ろを振り返る。

 来た道を戻り、角の方へと向かっていく。

 その目に、角から出て来る人影が見えた。

「大丈夫か?」

 そんな事ないと分かっていても聞いてしまう。

 だが、出て来たカズヤはさほど傷を負ってるようには見えなかった。

 少なくとも、目立った外傷はない。

 しかし、そんなカズヤに背負われてるマキはそうでも無いようだった。

「どうした、何があった?」

「マキさんが、俺をかばって……」

 なるほどと思った。

 おそらくではあるが、気力で自らを守ったマキが、カズヤをかばったのだろう。

 防御手段が希薄なカズヤを守るにはそうするしかなかったのも。

 しかし、爆発を幾つもかばうにはマキの防御も足りなかったようだ。

 カズヤはどうにか守れたようだが、マキ自身が相当な痛手を受けてる。

 遮りきれなかった爆発と衝撃を受けて大分やられてるのだろう。

 外傷はなくても、内蔵などに損傷を受けてるかもしれなかった。

「逃げるぞ」

「はい」

 ここに留まっていても仕方が無い。

 急いで外に出なければ怪我の治療も出来ない。

 治療が出来る仲間を呼ぶにしても、まずは外に出る必要がある。

 携帯電話を取りだしたノボルは、ここで知り合った仲間を呼び出そうとする。

 しかし、残念ながらここまで電波は入ってないようだった。

 もとより電波状態がそれほど良いわけではないが、こんな時に、と思ってしまう。

 もうとにかく外に出るしかない。

「先に行く。

 途中の化け物を倒しておくから、お前は自分のペースで来い」

「はい」

 言われるがままに返事をするカズヤの前から、ノボルは一気に走り去っていく。

 まだ気力による能力強化が続いてるため、速度は尋常ではない。

 凄いなあ、と思ってその後ろ姿を見送っていく。

 角に入ったのか、すぐに見えなくなった。



 派手な爆発音が聞こえてきたのは程なくだった。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。