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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
二章

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14話 日常業務 → 補修整備?

 何はともあれ情報に目を通していく。

 メールやネットに集まってきた情報は一週間ごとにまとめて印刷する事にしている。

 大半が価値のない無意味なものであるが、それはそれで見る価値がある。

 ヨドミや化け物気配がない、といった報告は確かに無意味だが、見方を変えればそれなりの価値がある。

 反応が無いと言う事は、そこでは問題が発生してない事になる。

 ならばそこを探る意味がない。

 無いという事が分かっていれば、そこを警戒対象から外す事が出来る。

 物の見方一つで得られる情報が変わってくる。

 その為、どんな情報でも疎かに出来ない。

 例え今すぐ分かる事はなくても、何かの拍子に役立つ事もある。

 とりあえずざっと目を通しておくだけでも無駄にはならない。



 協力者達が集めてきてくれる情報だけではない。

 ネットで散見される様々な話しも収拾されている。

 大半が都市伝説や怪談の類で、ほとんどが出鱈目だ。

 しかし、中には信憑性のある話しもある。

 目撃情報などが集中してる場所なら、何かが本当になるかもしれない。

 その逆に全く話題にならない場所も要注意である。

 意図的に情報を封鎖してる可能性もある。

 こういった事から実際に何かを引き当てる事は希だが、無視する事も出来ない。

 真相は分からなくても、そこに何かが潜んでる可能性はある。

 噂自体は根も葉もなくても、そんな噂が立つ土壌があるかもしれない。

 だからこそ、話題になったり全く無い場所にも注意を向けていく。

 他にも協力者達の地元や学校、職場での話などから兆候を掴む事もある。

 空振りに終わる事も多いが、それらも無視できないでいた。



 表向きに出してる探偵事務所という看板も、情報を持ち込んでくる事がある。

 実態からすればそちらが主要業務というわけではないが、そういった場合の対応として本職は雇っている。

 なので何かしら調査する必要がある場合でも対応は可能になっている。

 そのおかげで、様々な問題が持ち込まれる。

 たいていはごく一般的な事象であるのだが、中には本当に化け物が絡んでる事件もある。

 そういった所から化け物の調査に乗り出すこともある。



 そういった出来事をまとめた資料から、次の行動を考えていく事になる。

 限られた人数でやっていかねばならないので、無駄な事はしてられない。

 他の者が手をつけてない場所や案件があればそれを。

 人手が足りない所があるなら応援に。

 考えて対応していかねばならない。

 応援要請が出てるなら、当然そこを優先していく。



 一番気をつけねばならないのは、封印派の動向になる。

 先に化け物を見つけ、そこからヨドミを突き止められてしまったら面倒になる。

 相手より早く動き出し、封印される前にヨドミを破壊したい。

 その為にも、相手の動きを見て先回りがしたいものだった。

 簡単にできる事は出ないし、そうそう上手くいくものでもない。

 途中で出し抜くどころか、横からかっさらわれる事もある。

 そうならない為にも、相手の動きには注意を払う必要があった。

 こちらの情報は可能な限り出さず、相手の情報は出来るだけ集めたい。

 そんな無茶をどうにか成し遂げねばならなかった。

 お互いに監視し合ってる状態では、そんな曲芸をこなさねばならなかった。

 否応なしに駆け引きをしていく羽目になる。

 だからこそ収拾できた情報を大事にせねばならなかった。

 よりよく使う為に。



(どうすっかな)

 一通り見終わってから考える。

 真新しい情報はない。

 封印派の動向もそれほど目立ったものはない。

 やる事は大してない。

 地道な調査を淡々とこなすしかないだろう。

 それはそれで構わない。

 次に進む為にもそうした作業が必要になる。

 これを怠ってとんとん拍子に物事を進めるなんて事は出来ない。

(報告をあげたら、外に出るか?)

 ヨドミを潰した事と、昨夜襲われてる者を発見した事は皆と共有しておきたい情報だった。

 特に襲われてる女の子は、新しい人材でもある。

 今は封印派に押しつけてるのでこちら側にはいないが、そういう者がいる事は知っておいた方が良いだろう。

 その後で他の者と同じように調査に出るのが妥当な選択だと思えた。

(あ、そうだ)

 重要な事を思い出す。

 事務所の棚の一つを開けて、中身を取り出す。

 指示機を始めとした魔術的な道具である。

 まだ使えるものばかりだが、気力の補充が必要なくらいに消耗している。

 このまま放置しておくわけにはいかない。

 それらを取り出して、空いてる机に置いていく。

 ある程度取り出してから椅子に座り、補充を開始していく。

 指示機にお守り、警報に隠身。

 時間がある時に作っておいた物だった。

 それらを手に取って気力を込めていく。

 身につけた付与の魔術を発動させていく。



 魔術自体は境界やヨドミでなくても用いる事は出来る。

 ただ、効果は大きく減退する。

 たとえば、拘束の魔術も境界やヨドミでならば動きを封じるほどの威力を発揮する。

 これが現実・現世だと、相手の動きを少し鈍らせる程度にしかならない。

 他もだいたい似たようなものである。

 境界やヨドミで見られるような威力を持たせようとすると、多大な時間と気力を消費する事になる。

 実用性はほとんどない。

 なので、気力の補充なども現実・現世では無駄が多くなる。

 だからと言って境界が発生したり、ヨドミが見つかるのを待ってるわけにもいかない。

 道具はそれらが発生しない時にも用いる事になる。

 日頃から使える状態にしておかねばならない。

 それに、それらが発生してる時に補充をしようとしても、それはそれで手間がかかる。

 化け物達がすぐ近くに存在してる中で、悠長に作業をしてるわけにはいかない。

 少し余裕がある時に、少しずつでも気力を補充しておく必要があった。



 付与の魔術を用いて、気力を道具に注ぎ込んでいく。

 一度の補充では使えるようにはならない。

 稼働させてもすぐに電池切れになってしまう。

 ある程度の持続時間をもたせるためには、それなりに気力を用いねばならない。

 何回も何回も重ねて付与をしていかねばならない。

 消耗も激しい。

 ヨドミに踏み込んで戦闘してる時と同じくらいに疲れていく。

 連続して気力を注入する事も出来ないので、休み休み進めていかねばならない。

 そうやって使えるようになっても、程なく気力切れになってしまう。

 使わなくても少しずつ気力は消耗していき、やがては無くなってしまうのだ。

 頃合いを見計らって気力を補充していかねばならない。

 これだけ手間のかかるのが魔術によって作成された道具である。

 作成となるとこれ以上の手間がかかる。

 だが、見過ごせない利点もある。

 作っておけば、現世においても魔術を用いる事が出来る。

 その場で魔術を使おうとすれば手間も消耗も激しくなる。

 道具として作成しておけば、それらをかなり省く事が出来る。

 それに、道具としておく事で、魔術を使えない者も魔術的な力を用いる事が出来るようになる。

 指示機のような化け物などの気配を感じ取るものもそうだ。

 警報のように、特定の場所に設置しておく物もある。

 力を持たない協力者が影響を受けないように防御の魔術を込めたお守りを渡す事もある。

 とにかく、あると便利なのがこういった道具になる。

 余裕のある時に使える状態にしておく意義はある。

(やるっきゃねえよなあ)

 気づいてしまった以上はしょうがない。

 襲ってくる疲労を覚悟しながら作業を始めていった。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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