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11話 対立 → 報酬/成長

 家に帰ると幾分安心出来る。

 古めの間取り2K風呂トイレ付きのアパートであるが、慣れ親しんだ場所というのはそれだけで落ち着ける。

 実家ではないが、今ではこの賃貸住宅の方がゆっくりできるようになっていた。

 いや、実家の方が落ち着けなかった。

 他に誰かいるというのは何かと気兼ねがある。

 家族であってもそれは変わらない。

 不思議なもので、こうして一人でいるほうが落ち着けた。

 ホームシックというのにかかった事も無い。

 家族との接点はほとんど無いが、それで問題が起こる事も無かった。

 賃貸契約の時に必要なので顔を合わせたりはしたが、それしか接点はない。

 そんなもんでもやっていけるもんだなと、一人の時間を重ねる度に思いもする。

 今日も帰ってきて、馴染んだ部屋の中で寝転んでいるとそんな気持ちになっていく。

 だが、その前に片付けるべき処理をしていかねばならなかった。



 あらためてステータス画面を表示する。

 自分の能力が並ぶのを見て、考えていく。

 これらを上昇させるだけの報酬を手に入れてる。

 だから悩んでしまう。

 どれを上げていくべきかを。

(どうすっかな……)

 毎度の事だが、ここが悩みどころだった。

 何を伸ばすか。

 何を得るか。

 一度決めたら撤回は出来ない。

 悩んで迷ううちは、まだ選択肢があるが、選んでしまえば次はない。

 再び機会を得るまで、選択の自由は得られない。

 成長の機会とはそれだけ得難いものだった。



『修養値』

 これがいわゆる経験値の役目も果たす。

 金銭に換金するだけが役割ではない。

 更に言えば、物理的な財貨だけでなく、舞い込む幸運などもこれを用いて得る事が出来る。

 疎遠になっていた人物からの連絡とか、無くし物が見つかるとか。

 縁の無かった所からの誘いの声がかかるといった事も、これを消費して得る事が出来るという。

 もっとも、こうした幸運は一度きりの機会をもたらすだけで、その後の成果に結びつくかは分からないが。

 それでもかなり便利なものであるのは疑いない。

 ただ、得る機会がなかなかないのでそう簡単に使うわけにはいかない。

 それに、これを用いて能力や技術などを得る事が出来るので、おいそれと金や幸運などの獲得に用いるわけにもいかない。

 使いどころを間違ってはいけないし、変な使い方をすれば後々に響いてしまう。

 生活のこともある。

 換金して金にして生活してる以上、ある程度は残しておかねばならない。

 それに、仕事の手伝いを依頼する事もある。

 今回も何人かの者達に手伝ってもらってる。

 それらに日当を払う必要がある。

 次の稼ぎがいつ入るか分からないのもあるので、ある程度残す事も考えておかねばならない。

 幸いにも今回は結構な数値が振り込まれている。

 どこからやって来るのか分からないが、大盤振る舞いで助かった。

 一人でヨドミを破壊したからであろう。

 これが何人かで挑んでいれば、その分だけ分け前が減っていた。

 その分危険は大幅に減るので、悪い事とは言えない。

 その点では、一人で挑んだことへの反省はある。

 出没している化け物達を見て、ヨドミの規模もユガミの強さもそれほどではないと当たりをつけてはいたが。

 なるべくなら他の者の助力も得るべきだった。

 こんな幸運が二度も三度も続くわけがないと自分を戒める。

 それだけの危険を踏まえて得た成果は、やはり大きい。



 レベルを上げるのに必要な修養値は一万。

 それで簡単に技術を得たり高める事が出来る。

 既に金銭に換金した分があるが、それでも残った修養値は二万五千七百点。

 2レベル分の上昇をさせる事が出来る。

 生活の分については十分に余裕があるから、レベルの上昇に使える分を全て使っても問題はない。

 ただ、そうなると考えてしまうのがどう使うかである。

 レベルが一つ上がるだけでも大きな差になる。

 それが二つとなればかなりの成長となる。

 ただ、そうは言っても二つしか上げられないのも事実だ。

 出来る事は幅広く、技量は高度であるのが望ましい。

 理想ではあるが、その為には二つでは全然足りない。

 求め始めたら際限がないが、それでもこれでは全然足りない。

 足りない所を補うか、伸ばしてきた所を更に伸ばすか。

 思案のしどころである。

 次にレベルアップ出来るのがいつになるのか、そもそも修養値が増加するような出来事がいつやってくるのか分からない。

 普通に生活していても、何かしら訓練や練習をこなしても修養値は増加する。

 しかし、それはかなり微々たるものでしかない。

 危険の引き替えであっても、一気に二つもレベルが上昇するような増加をするほうが希なのだ。

 その機会にもう一度巡りあうまでを支えるには何を選ぶべきか。

「どうすっかな……」

 ステータスを見ながら考える。



 とりあず戦闘に必要な技術はそれなりになっている。

 魔術の方もそれを意識して成長させている。

 そちらの方はさして問題は無い。

 情報収集や身を潜めたい時に用いる行動の方も身につけている。

 ヨドミの封印派を出し抜くときなどのために、それらから情報を得るために成長させたものだ。

 これもとりあえず今の状態でさほど困ってるという事は無い。

 より強力な相手が出て来たらそうも言ってられなくなるが、とりあえずは大丈夫のはずである。

 となれば、もっと別方面のものを成長させた方がいいかもしれないと思った。

 すぐに役立つ程でなくても、あると便利な程度で良い。

 こういった分散はしない方が良いのだろうが、出来る事の幅を拡げておかないと対応出来ない場面も出てくる。

 ある程度の専門化は必要だが、それも時によりけりだ。

(無いと困るのもあるしな)

 出来ない事のせいで後手に回ったこともある。

 それを少しでも解消したかった。

(そしたら…………これと、これか?)

 これが出来たら良かったという場面を思い出していく。

 あげていけば切りがないが、その中から特に強く求めたものを幾つか見繕う。

 更に、自分の仲間が出来る事も考える。

 そういった者達の強力があおげるならば不要になる技術は取り下げていく。

 いつでも頼れるわけではないが、一緒に行動する事が多い者達なら無理して同じ事が出来るようになる必要はない。

 望むのは、カズヤが身につけていて便利なものである。

(となると、これか?)

 何とか二つまで技術をしぼる。

 相手の感情を察知して読み取る『心理』。

 それと、気を用いた術の効果時間を拡大する『持続拡大』。

 これらをレベル1で身につけていく。

 決めてからは早い。

 躊躇いが発生するより先にそれらを選んで成長させる。

 修養値が一気に減っていく。

 その代わり、ステータス画面には二つの技術が新たに加わった。

 この決断が吉と出るか凶と出るかは分からない。

 だが、必要な場面があらわれれば、それなりの役に立ってくれるだろうとは思った。







【能力表示】




安房カズヤ

 二十一歳 一百七十二センチ 六十二キロ



<主要能力>


生命 三00(一00 + 二00)

気力 三00(一00 + 二00)



刀剣:7 格闘:6 投擲:3


運動:3


感知:5 追跡:5 隠密:5


戦術:4 【新規】心理:1



工作:3 運転:3





<魔術関連>



探知:3 捜索:4 


拘束:4 衝撃:3


能力強化:4


付与:3


回復:5


範囲拡大:2 威力拡大:2 【新規】持続拡大:1

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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