依頼
お久しぶりです。
物語を作り替えて再出発したいと思います。
今後もお付き合い頂けたらと思います。
眩い光が終わり、ゆっくりと目を開けると目の前には噴水、床は石畳で建物はヨーロッパの古代都市を見ているかのような煉瓦を使用した家々。周りには剣や槍を持った人に、大きな鳥が馬車を引いている様子も見れた。ここが、FLOの世界。
「すっげぇ……。」
と思わず感想が零れた。現実と見間違うようの再現度の高さだ。
「いつまでもここにいちゃ駄目だな。」
先ず俺が行くところは、武器屋だ。別に武器は持っていない訳では無い。初期装備と呼ばれる初心者の剣と初心者の服、初心者の靴といった初心者装備だが、最初のうちはこれで充分だと思う。じゃあ何故武器屋を目指すのか、というと。
「いらっしゃい!」
NPCの店員が話しかけてきた。口調も滑らかでこれまた現実と見間違うくらい自然な仕草だ。
「剣を見せてもらいたいんだが?」
「はいよ!うちには今んとこ2本あってだな……銅の剣と鉄の剣だな!銅が1200Eで鉄が3500eだ。説明はいるか?」
「鉄のが攻撃力が高いんだろ?」
「それもあるが、耐久値や切れ味にも差があるぜ。お前さん鑑定はあるか?なければ簡単に説明するんだが……。」
「鑑定ならあるぞ。どうすればいいんだ?」
「おお!鑑定したいヤツを人差し指でもいいから1回触るんだ。そうすれば詳しい情報が見れるぜ。」
店員の言う通り人差し指で1回触ってみる。すると剣の上に半透明な板が現れ、文字が書かれている。
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銅の剣 ATK 5 耐久値 60/60 切れ味 3
鉄の剣 ATK 10 耐久値 90/90 切れ味 5
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と表示された。
「表示されているATKってやつがこれの攻撃力だ。耐久値ってのは文字通りだな。これがゼロになると武器が壊れるんだ。切れ味も使い続けていくと段々と落ちていくんだぜ。」
「耐久値と切れ味は落ちたら戻す手段はないのか?」
「あるぜ。耐久値は修理、切れ味は研磨しなきゃならねぇ。」
「ここでも出来るのか?」
「いや、ここじゃやってねぇんだ。鍛冶屋に持っていけばいい。勿論有料だがな!」
「なるほど。この剣を打った鍛冶屋の場所を教えて貰ってもいいか?」
「あぁいいぜ!」
俺は武器屋の店員に鍛冶屋の場所を聞いてから店を出た。鑑定のやり方に武器のメンテナンスの方法まで聞けたからいい収穫だな。ふと今の武器の詳細を見てみたくなり、初心者装備を鑑定してみた。
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初心者の剣 ATK 2 耐久値 ∞/∞ 切れ味 2
初心者の服 DEF 1 耐久値 ∞/∞
初心者の靴 SPD 1 耐久値 ∞/∞
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となっている。初心者装備は耐久値は減らないみたいだ。鑑定を持ってなかったら耐久値の限界が分からないから定期的に鍛冶屋に持っていかなきゃならんみたいだな。戦闘中に武器が壊れたらパニックになりそうなもんだ。
歩いて5分程で鍛冶屋に到着した。煉瓦仕立てで煙突のある建物で、建物の横には木で出来た小屋がある。煙突からは煙が黙々と出ているから作業中なのかもしれない。
「すみません。」
「はぁい!」
店番をしている恰幅のいい女性が返事をした。
「今日はどうされました?」
「えっと鍛冶は貴方が?」
「いえ、私ではなく奥にいる主人が。」
「お忙しいかとは思いますが、旦那様を呼んで頂くことは可能ですか?」
「少々お待ちください。」
そういって奥の部屋に行ったかと思うと割とすぐに帰ってきた。色黒で大柄な男性が一緒だ。手には鍛冶をしていたのか金槌をもっている。恐らく彼が鍛冶をしているのだろう。
「俺に用事か?」
「ええ。貴方にお願いがあって来ました。俺に鍛冶を教えて下さい!」
きょとんとした表情のNPC2人に俺は深く頭を下げたのだった。
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