合流
最初にログインした噴水の前で待つこと数分、小走りに金髪の男が俺に近づいてきた。
「わりぃグラン!待たせちまったか?」
「いやそうでもないよ。ケンケンで合ってるよな?」
「おう!久しぶりだな!」
ケンケンとは割と頻繁に連絡を取っているが、ゲームの中でとは言え実際に会うのは高校卒業以来だから実に6年ぶりの再会となる。
「ドワーフって聞いてたけど、あんましちっさくねぇんだな。もっとこう小っこいもんだと思ってたぜ。」
「まあな。元々180cmあるしな。小さくなりすぎてゲームに支障が出ても困り者だけどな。」
現実の俺は180cmと高身長、且つ畑仕事や爺さんの暇つぶし(いじめ)の甲斐もあってか割と筋肉質だ。山族の身体補正が入ったのは身長と横幅、あとは髭をカスタマイズ出来るといったものだ。その結果、FLOでの俺の容姿は身長170cm程で肩幅と腕周りが少し増えたくらい。髭は無しにした。髪型は赤髪でライオンの様に逆立ててある。瞳の色も同様に赤。見た感じかなりがっちりした偉丈夫な感じだ。
対するケンケンは、金髪碧眼の爽やか系男子だ。現実と同じく175cm程度の身長に、身体のラインを見ると恐らく痩せてはいるが結構筋肉質でリアル基準だ。皮鎧は何のものか分からないが結構いい値段がする奴だろうな。装備している剣も店売りの銅の剣のようだ。
「最初からログインしてたのか?」
「ん?おお!モチロン。お陰で装備は現環境で最強だぜ?スキルも何個か買ったからスッカラカンだけどなー。」
「……全部合わせて結構な値段だな。」
「そうだな。軽く2万Eは使ってるな。」
サービス開始から一体どれだけやり込めばそこまで稼げるのやら。絶対ほぼ休み無しで戦闘してるだろ。
「そーいうお前は全然変わってねーのな?」
「まあ、鍛冶屋に弟子入りしてたから。2時間くらいしか戦ってない。さっき漸くスキルを一つ買った所だよ。」
「鍛冶か……。お前ゲームん中でも生産者になるつもりか。」
「6年間農家やってるけど鍛冶はやったことないし。面白そうだろ?」
「鍛冶ドワーフか。王道だな。」
「いいだろ、別に。そんな事よりどっか行くか?」
「そーだなー。東は粗方探索したから今度は南方かなー。でもまだエリアボス見つかってないからそれを探すのも面白いし。どっちがいい?」
「エリアボスとか行くわけないだろ。初心者装備の俺が一体何が出来ると思ってんだ。南に行くぞ。」
「あいよ!」
こうして俺とケンケンは南の森エリアに行くことになった。
更新が大分遅れました。
申し訳ないです。
今後更新間隔延びるかも……




