幼馴染み
スキル屋を出て何処に行こうかと迷っていると黒電話の音が鳴り響いた。
今の世の中は便利なものでゲームをしている最中でも電話が掛かってきたらすぐに出れるように、携帯端末とバーチャルメット(ドリーマーズ)を繋げておくことが出来る。その他にもゲームをしながらインターネットで攻略サイトを見たりなんて事も出来る。便利な世の中になったものだ。そしてプライバシーにも十分配慮されており、電話相手の声や見ているサイトなどは他者に分からないようにされている。
「もしもし。」
『お、大地!今大丈夫か?」
「おう、どーした?」
電話相手は冒頭から話には出ていた幼馴染みだ。名前は剣崎謙也。通称ケンケン。幼稚園の頃からずっと一緒にいる、所謂腐れ縁ってやつだ。FLOの情報は大体コイツからだ。
『お前に真っ先に感想伝えたくってな!いやーやべーぞ!マジでやべー!』
「ケンケンの頭がか?」
『そーそーこの間上司いるの全然気づかなくてブタゴリラって言ったの聞かれて、って違う違う!!何言わせんだよ。FLOだよFLO!!前言ってたVRMMOの事だ!』
言わせてねーよ。勝手に言ったんだろ。
「FLOか。確かにヤバイな。お前が興奮するのも頷けるわ。」
『……ん?あれ?お前、やってんの?』
「おう。現在進行形だ。」
『はぁぁあああ?!ちょ、まっ!!』
「ケンケンうっさい。」
『いやいやお前、なんでクソ田舎に住んでるお前が持ってんだよ?!これ懸賞とかねーじゃんか!俺なんかインフルエンザ捏造して手に入れたんだからな!?』
俺はお前の勤務態度の方が気になるけどな。大丈夫か、お前んとこの会社。
「爺さんがドリーミィライン社の社長と旧知の仲らしくてな。そのツテを使って誕生日プレゼントとして貰ったんだ。」
『はー。確かにお前んとこの爺ちゃん無駄に人脈あるもんな。それなら納得かも。っつか今やってんなら会おうぜ!俺もゲームん中だからよ!』
「いいぞ。待ち合わせ場所は最初の街の噴水でいいか?」
『おう!ちなみにお前どんな格好してんだ?』
「初心者装備のドワーフで赤髪だ。お前は?」
『赤髪のドワーフな。俺は皮鎧を着た金髪の剣士だ。ちなみにプレイヤーネームはケンケンな。』
「字名そのまんまかよ。分かった。俺はグランだ。」
こうして幼馴染みのケンケンとゲームで再開する事になった。
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