運命力
僕は運がない
財布を落とすのは日常
警察に犯人扱いされるのは慣れた
外で食べるアイスを最後まで食べれた事は無い
おみくじの類いは不正を疑う程に凶ばかり
生まれてからずっと運が無かった
まるで一つの才能の様に胸を張れる
しかし何も命迄不運で落とす事は無いだろ?
街を歩いていて、ビル工事の隣を歩いたら
ガラスが降って来るんだもん、驚いたよ
でも不幸中の幸いで、かすり傷一つ無く
寸でのところで避けれたんだよ
避けた先の道路でトラックに牽かれ死んじゃったけどね、うん
後悔というか、嘆きというか
自分の運の無さを呪っていると
何処からか声が聞こえてきた
(力が欲しいか、と)
そんなの決まってるだろう?
運が欲しい、幸運が欲しい
「さぁ、戦う前に」
陽気な怪人は相対する英雄に向かって
軽い口調で話掛ける
「君の今日の運勢を占おうか!」
スロットの様な胸を張るとスロットが回り
左手で数字の書かれた棒を腰から引き抜き
右手でサイコロを振った
「あぁ~…残念無念!ハズレだ」
スロットはバラバラ
見事に同じ柄は無かった
「これは…駄目か!」
棒と同じ数字の紙には大きな文字で
'大凶'と書かれていた
「三度目の正直だよ!…あ~二度ある事は、ねぇ」
止まったサイコロは赤い窪みが一つだけ
陽気な怪人は英雄に対してこう言った
「君、運が無いね♪」
スロット型の怪人は難なく英雄を倒したが
戦いというには余りに不憫な程に
英雄に不運が続き、そのまま怪人は
無傷のまま勝利を納めた
今年のおみくじは末吉でした