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美せる力
小さな時から憧れていた英雄
平和を愛し、正義を貫く
その姿はとても格好良い
子供心に、純粋に憧れた
そして成りたいと思った
少年の時代はいつも夢に見た
ピンチのその瞬間に助けてくれて
笑顔を守る為に戦う、そんな英雄を
完膚無き迄に倒した怪人に成りたいと
「もうね、凄い格好良かったの」
陽気な口調の怪人が
ボロボロの英雄に語り掛ける
片腕も上がらない英雄は
仮面越しにも顔を歪めているのが解る
絶対的な力の差を見せられ
後に残るのは敗北迄の僅かな時間
そんな彼を構う事無く、話を続ける怪人
「だからそんなあの人に憧れたんだ」
強さに魅せられたんだと、言葉を区切り
とどめを刺すべく、怪人は美しい羽を広げ
自らの強さを誇示するように大袈裟な口振りで
英雄に問いかける
「ねぇ、僕って格好いい?」
次の瞬間には答えを聞く前に
孔雀の怪人は、英雄の胸を貫いていた
強いのと大きいのは良いことです