逢魔時
空の亀裂から現れる化物の勢いは
蛇口を全開にした水の様に止まる事を知らない
そんな激流を眺めるスロット型の怪人は
右手に一本の矢を握りしめ左手に弓をつがえる
洗練されたその構えを見詰める英雄に対して
気さくに気取らず語り掛ける
「そんなに見ないでよ、照れる」
神社や寺院等で貰える縁起物の一つに
破魔矢という物があり、その年々の凶方や
鬼門に向けて飾ると、邪気を払うと言われている
それを模して造られた、次元を更に高次元の階で上書きする
一種の次元兵装だかなんだか
「まぁ僕も分かんないんだよ」
そして大空に開いた穴に向かって矢を放つ
力強く進む矢は、神々しい光の筋となり
禍々しい亀裂にたどり着いた
その次の瞬間、凄まじい轟音と目映い光が広がり
化物を産み出す煉獄の門は、大空から姿を消した
「これで良し、後は残りだね」
矢を放った怪人は再び弓を構え
地上に蔓延る化物に向かって矢を放ち始める
機械の様に正確に、匠の様に的確に頭を射ぬく
「今日は良く当たるなぁ♪」
端から見ている英雄には、実力にしか見えないが
怪人は幸運だと言う、普段どれ程運がないのだろう
穴が消え失せ
増える事は無くなった化物達と
怪人達は英雄を護りながら戦っていった
タイトルの読み方は(おうまがとき)ですん




