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護る為に
怪人と化物が戦う街は
混沌と呼ぶにふさわしい情景だった
そんな地獄の片隅に、逃げ遅れたのだろう
小さなウサギのぬいぐるみを抱き締め
一人の少女が震えながら路地に隠れていた
息を殺し、涙を流しながら
少女は怪人達の勇姿を見ていたが
一匹の化物に見つかり、路地から逃げ出した
たかだか子供の足では振り切れる訳もなく
追いかける化物は、鋭利な爪を少女に振り下ろす
ぬいぐるみが空を舞い
化物は大きな奇声を上げる
自分の爪を砕いた、大きな背中を持つ
「今度は、守れた」
少女を抱き締める亀の怪人に、奇声を上げる
「さぁ、早く逃げなさい?」
怪人は振り返り、化物と対峙し
背中を向けながら少女に語り掛ける
まるで父親が娘と話す様な優しい口調で
きっとお母さんが心配しているから、っと
少女は顔をグシャグシャにしながら
嗚咽混じりの感謝の言葉を残し
地獄から逃げ出す為に走り出した
「さて化物め、ふざけるなよ?」
先程迄の口調は消え去り
怒りをあらわに話始める亀の怪人
「僕の前で子供を殺そうなんて」
拳を握りしめ、腰をひねり
腕を引き、狙いを定めて
「そんな事…」
身体の捻りをバネの様に戻す勢いで
拳を化物の胸に振り抜き、貫いた
「させる訳がないだろう!」
後々他の怪人達はこう言ったという
“怒ったアイツを始めてみた”
もしもし亀よ




